創作「神様が舞い降りてきて、こう言った。」
家を出ると、絵に描かれる神様みたいな姿のおじいさんがいた。地面から1mほどの高さに浮かぶ雲にあぐらをかいて、額に汗を光らせながら首をひねっていた。よく見ると手には短冊と携帯用の墨と筆を持っている。
「神様が舞い降りて来てこう言った あとの七七何と詠もうか」
朗々とした声でおじいさんはそう言い、不満そうに新たな短冊をどこからか取り出す。わたしは戸惑いつつ、移動してもらうために声をかけた。
「あの……何をされているんですか?」
「ん?短歌を作っているのだ」
「ここ、わたしの家の前なので、移動していただけないでしょうか。短歌を詠まれるのなら、向こうの公園が涼しくておすすめですよ」
おじいさんは驚いたように目を開き、わたしの足の先から頭の上までじっくりと見た。
「おお、そうか。あんた、わしが見えるのか。いやはや、創作意欲が湧くとどこでも詠んでしまうのが、わしの悪い癖でな。うむ、移動しよう。ここはちと暑い」
そう言い、がははと笑う。案外気の良いおじいさん、もとい神様だった。神様はこっそり地上を視察して短歌として記録しているらしい。
「では、わしは一度、天に帰るとしよう。あんたも元気でな」
そして、神様はふわふわと浮上して行った。
ふと、足元を見ると短冊が一枚残されていた。手に取ると驚くほど軽い。そこには見たこともない言語が記されていた。読むことはできなかったが、心まで軽くなるような言葉であると伝わって来る。しばらくすると、短冊は手の中から消えていった。
こんなに暑い日には、不思議なこともあるものだ。
(終)
「誰かのためになるならば」
私は私のためにこのアプリに文章を投稿している。
だから、もし誰かに読んでもらえて、さらに心に残っているのなら幸運なことだと思っている。
どのような思いで私の文章が読まれているのか、私にはわからない。
だが、誤字脱字は気づきしだい修正している。
少しでも読みやすいように意識しつつ、私はこれからも自分の心のままに文章を綴っていくつもりだ。
創作「鳥かご」
近所のお家から小鳥の鳴き声が聞こえてきた。
昔ながらの四角い鳥かごが、窓辺に一つあった。
中には美しい緑色の羽をした小鳥が1羽。
胸を張って、つやつやした声で歌っていた。
後で調べてあの小鳥はメジロだと知った。
あの素朴な鳥かごと、メジロのきれいなさえずりは
子どもの頃の思い出。
(終)
「友情」
そこに行くといる。
いないと心配になる。
遊ぶと楽しい。
たまにけんかすると
違う人が慰めてくれる。
そこには緩やかな友情があった。
「花咲いて」
地に芽吹き 花咲いて 雲沸き立つ
月満ちて 白雪を踏み 君は努める
季節は廻る 実る時まで