『君の背中を追って』

貴方の背中を追って
駆け出す午後6時10分
最終下校を少し過ぎた時間に貴方は
大股で帰るのを私は知っています
偶然を装って背中を追うのは何度目でしょう

｢今帰りですか？奇遇ですね｣

故意に貴方と歩く帰路は
恋に焦がれている私の恋路のように
あつくて美しかったのです

『好き、嫌い、』

貴方が好き、 だけど嫌い
ツンデレとかじゃなく、シンプルに。

貴方の声が好き
笑顔が好き
目尻の皺が好き
笑った時の肩の震えが好き
私の話を聞く時の相槌が好き
寂しそうな横顔が好き
長い睫毛が好き
黒板に書く字が好き
私と話す時の目が好き
運転中の右腕が好き

私の気持ちに気づかない貴方が嫌い
あの子と話す貴方が嫌い
私以外に笑いかけるその顔は大嫌い

でも好き
大好き
愛してる
貴方の存在を。

だからずっとそのままでいてね
出来れば私の気持ちには気づいて、
私だけに笑ってね

『雨の香り、涙の跡』

懐かしい香りがしました
もうすぐ雨が降りそうです

降るなら早く降ってください
私の涙を流して欲しいから

貴方と会うまでに
涙の筋をなかったことにして欲しいのです

この想いもすべて
流し切って欲しいのです

『糸』

私も貴方も縦糸、いつまでも平行線。

決して交わらないふたり。

『届かないのに』

背伸びをしても
貴方の髪に私の指先は届かない

大人びたヘアメイクをしても
貴方の年齢には届かない

届かないのに
私は貴方を想い続けている

届かないのに
私は今日も貴方に手を振ってみた

貴方は会釈して過ぎ去って行ったけど
その後ろ姿を私はずっと見つめてた

私の視線は貴方には届かないのに

私の想いは貴方には届かないのに