【誰も知らない秘密】
~それでも私は信じるしかない~
「ねぇ、あの子まじで愛想ないよね」
「それな?数字ばっか信じて何になる?って話しよね」
「ね〜」
女子二人が会話を弾ませている。
見ている方向には同じクラスの女の子がいた。
丸い形の黒縁メガネをかけて、髪の毛を後ろでひとつに括っている、見た目は至って普通の女の子だ。
だが、いつも確率に則った話しかしない。
言わば数字のみしか信じない女の子
他の女子から見ても男子から見ても、愛想がないように見えるのは仕方がないと思う
が、僕の場合は、自分は数字しか信じない。という強い信念を持った己のある素敵な子だと、そう感じた。
そんなある時、教室の片隅で昼食を取る彼女の姿が目に入った
「何食べてるの?」
ついそう聞いた
彼女は話しかけられたことに驚いて少し固まっていた
「…あ、最近ドラマで見つけた○○っていう料理を自分で作ってみたんだ。今日はそれを持ってきたの」
今まで話したことが無かったが、あまりに普通すぎる返事が帰ってきて驚いた。
だが考えると、こんな所に数字なんて出てこなくて当たり前だ。
「そうなんだね」
しばらく沈黙が続いた
最初にそれを破ったのは彼女の方だった
「何で話しかけてきたの」
「話しかけたらダメだった?」
「そんなことは無いけど……皆私を避けたがるから」
確かに彼女にわざわざ話しかけに行く人は、誰一人としていなかった。、
「ねぇ、どうして数字しか信じないの?」
相手の箸が止まる
「なんでって…貴方には関係ないでしょ」
「確かにそうだけど、数字しか信じない人なんて誰だって嫌だと思わない?だけど君はあえてそうしている。そこには大きな理由があると思うんだ。」
「そんなこと考えてたんだ。でも、知った所で何にもならないどころか、言いふらしても1円にもならない。
まぁ、私からしたら話されるのは嫌な事だし、人が10分話して嘘をつく確率は1/5だから貴方がここで広めないと言っても信用出来ない」
ついに確率が出てきたか…何だか逆に嬉しかった。
「''それでも信じるしかない''そうでしょ?」
「え…?
どうして……」
「君は優しいから。
人を信用せずには居られないんだ
たとえ何をされたって、この人は違うからって」
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「ごめん、こんなつもりじゃなかったんだ」
この言葉を聞くのは一体何回目だろうか
「ううん、大丈夫。これから気をつけくれればいいから」
「ありがとう。次はしないから」
一人だけでは無い
何人も何十人も…
多くの人に裏切られた
全然大丈夫では無いし、1度やらかした人は信用出来ない…はずなのに……
私はどうしても信じてしまう
信じるしかないから…
そして裏切られては苦しくなって
でも、その痛みはその人を信じた私が全て悪いのだ
初めてであった人に、あなたはどう思うだろうか
この人も私のことを裏切る可能性がある事はわかっている。
だけれどもそれは可能性であってそう出ないこともある。
だから私は人を信じる。
信じてあげなくちゃと思う…
だって最初から人を信じないなんてきっと間違ってる。
そう思うことが違うのかも分からないけど、兎に角本能的にそう思ってしまうのだ。
人を信じられない自分がどうしよもなく嫌だから。
けれど……私は失いすぎてしまった
信じていた人を失いすぎてしまった
それでも信じたいから表では私は数字人間になって、人から避けてもらおう。
本当は避けられるのは嫌だ、でも、会話をしてしまうと信じないではいられない…
だからきっと、私はこの人の事も信じてしまっている
きっと、裏切る人であろうと、話しかけてくれた嬉しさで私は許してしまうのだ。
【静かな夜明け】
人間は時に刺激を求める
平穏な毎日は退屈で嫌いだからだ
趣味をしたりスリルを楽しんだり、恋愛をしたり……
だが、一通り楽しんだら又、元の静かな日々に戻りたくなる。
こんな騒がしいのはいやだ、しんどいと
まるで矛と盾だ
あなたが心から求めるのは
静かな日常か、将又騒がしい日々なのか
【herat to herat】
心に纏わる話ということで、"裏切り"についてこの場を借りてお話致します。
どうか相手を思いやれる言葉を使って欲しいと
今日の話から学んで欲しいと思います。
皆様、もし誰かがあなたに対して不快になる言葉を言った若しくはしたとします。
それつにいて謝罪された時、大抵は許しますか?許しませんか?
些細な事も含めて考えてみてください。
私は大抵許す派です。
起きてしまったことは仕方の無いことなので、その後謝罪をしてくれれば私は許します。
全然いいよ〜と言います。
気まずい雰囲気が続くのは嫌いですからね。
時々、裏切られた!!許さない!!と言ってる人を見ますが、本当に心から許さないと思っているのかなと思うほど"裏切り"というものを理解していませんでした。
私が初めて裏切られたと感じた時は
最初認識することが出来ませんでした。
恐らく、自分の心は酷く動揺していたのでしょう。
大抵の事は許す私なので、その時も謝られら"いいよ"と返すつもりでした。
ですが
「すみません」
面と向かってそう言われた時、私は一体何を思ったのでしょう。
ただ、"いいよ"と言えばいいだけなのに、なんの言葉も出てきませんでした。
その場から黙って逃げることしか、出来なかったのです。
なんで?どうして?相手はこんなにも謝ってくれてるじゃん。どうして"いいよ"が言えないの?
こんな気まずいのが嫌いなのは分かってるんだから早く許してしまえばいいのに。
こう思っているのに何故か頑なに言わない私。
全くを持って思っていることと正反対のことをしている。
一体私はどうしてしまったんだろう。
考えていて気づいたのです。
"この人"だから駄目なんだと。
今までどんな事でもいいよと言えていたのに言えなかったのは、私が彼を信頼しきっていたから
その信頼分裏切られた時の衝撃は激しものでした。
さらに自分は愕然としました。
そもそもその人にこれ程信頼していたんだと言う自分の気持ちに気づいていなかったのです。
だからこそ困惑し、動揺している。
心に穴が空いた気分でした。
つまり"裏切り"という事はたとえした事が些細なことだろうと、相手があなたに対して信頼している分、裏切られのですよ、傷付いてしまうのですよという話です。
例え貴方が相手をなんとも思っていなくとも、相手が自分の気持ちに気づいておらず普段は何ともない態度であろうと、知らず知らず相手は信頼しているかもしれないのだから絶対に悪いことは言わないであげましょうね。
私の経験から言いますと、この空いてしまった穴は、殆どの場合埋まりません。信頼を回復するのはほぼできない事だと思っていてくださいね。
【日陰】
~日陰の自分~
私は八方美人タイプだ
どんな人にも嫌われたくないので、
人当たりの良いように振舞っている。
同じクラスの友達にも、ネットで知り合った人にも、学校の教師にも、道で偶然であっただけの人にも、親でさえも……
人がいいと言っているのだから間違っていないのだろう。
けれど友達と良くすると、したくない事にも付き合わされる。
教師に良くしようと無理して成績を良くしたら、プレッシャーで押し潰されそうになる。
正直いうと面倒臭い。
ならば辞めればいいじゃないか。
自分を出せばいいじゃないか。
ありたい姿で過ごせばいいじゃないかと
みんな簡単に言うものだ
私はどうやって自分を出せばいいのか分からないどころか
自分が何なのか分からない
嫌われたくないから嫌われない人になれるよう私は私を偽った。
嘘で自分を作りあげた
何処からどこまで嘘なのかも分からなくなる程に
本当の自分は何なんだろう
「そろそろ嘘をつくのも疲れたよ
そんなに面倒臭いなら居なくなればいいじゃん
いる理由なんてないんだし」
薄暗い場所から声がした
これが本当の私…?
いつも友達に笑顔を見せてる自分とは違う。
真顔だ、そこに心はあるのかと思うほどに
感情が読み取れない
「何言ってるの…?そんな訳ないじゃん」
もう1人の私
外に向けている私とは真逆の、
いつも日陰にいる私
そうか
私は元々、何かになりたい何て思ってなかった。
本当は居なくなりたいけど、居なくなるのが怖かった
だから望みをかけて居たくなる理由を探してたんだ。
運命があるのならば、きっと本当の私を教えてくれる人が現れてくれるのだと
もう1人の私が近くによって語りかける
もう…無理するのはやめようか
【冬晴れ】
~辛いのは自分じゃない~
「恐らくこの子は
もうあなたの声が聞こえないでしょう。
突発性難聴です。
本当にいいのですか?補聴器ならありますよ?」
「いえ、もう家にお金なんて無いんです。
診療してもらうのもやっと。
そんな余裕ありません。」
「そうですか…」
いきなり手を引かれた。
あ、もう帰るんだ。
私はいつも通り家に帰る。
そしたら勉強をして、寝て。
母の料理が出来たというLINEをひたすら待つ
いつも食事を作ってくれてありがとう…
こんな私のために…感謝してもしきれない…
耳が聞こえなくなって自分も辛かったけど
きっと辛いのは私じゃなくてお母さんだ
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なんでこんな子の世話をしなければ行けないの…
不憫で仕方ない…
疲れて家に帰ると
耳が聞こえない娘がいる。
娘なんだから世話するのは当たり前だとわかってる…
夫が不倫して離婚して…辛くて…
ひとりで家を支えるために働いて…
でもいつも娘が寄り添ってくれたから
ここまで来れたのに…
そんな娘からも見捨てられたかのように
私の声が聞こえなくなる…
全てなくなって行く…
幸せだった時間が消えていく……
幸せだと思っていたのに……
毎日毎日耳の聞こえない娘に対して愚痴を言う
こんな事しても意味ないのに
聞こえないからいいわよね…
もううんざりなのよ…
こんなもの…捨ててやる
こんなもの…要らない
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耳が聞こえなくても
幸せだと思っていたある日…
「お母さん…?」
どうしてこんなに部屋がちらかってるの…?
なんでそんな怒った顔をしてるの…?
何か私に喋っているけど私は聞こえない…
けど、機嫌が悪いのは分かる…
あぁ…私が耳が聞こえないからなんだ。
きっと私の愚痴とかストレス解消のために言ってるんだよね…
私は聞こえないから…
暖かい母の声も…
自分の声さえも…
辛いのは自分じゃない
お母さんなんだ
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ごめんなさい
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雪が止んで外が晴れる
少しずつ雪は溶けてゆき
最後には消えた
お母さんとの色々も
まるで真っ白な雪が溶けるように
綺麗に消えていた