【糸】
休みがない日が続く中、次々と自分の中で糸が切れていく
そうやって限界が近づいてくる
全てこのスマホみたいに再起動出来たらいいのに。
【そっと包み込んで】
まず最初に、勉強を頑張っている、何かを頑張っている人に言ってあげたい事。
《知ろうとするそれだけで、偉いんだよ》
私は小学生の時、テスト勉強という概念がありませんでした。
テスト前でも教科書を開いてすらいませんでした。
本当に文字通りの
「テスト勉強って何するの?」
だったんです。本当に何をするのか知らなかったんです。
テスト返却は怖くなかったです。
なぜなら平均点という概念もなかったから。
何点がいいとかを知らなかったから。
中学生の時、勉強を知りました。
テスト勉強が何かを初めて知りました。
それでも勉強したくなかったのでしませんでした。
なぜなら何が分からないかが分からなかったから。
何から手をつければいいのか、全く分からず知れたのに手も足も出ない無力感に包まれました。
受験生になって、親が手取り足取り教えてくれたおかげで、私は勉強の仕方を知り、点数の取り方を知り、
”分かることの楽しさ”
”分からないことの悔しさ”
そして”テスト返却の恐怖”
を初めて知ることになりました。
これまで何も知らなかった、何も出来なかった自分。
でも内心、「勉強なんて生きる上で必要ない」と勝手に思い考えないようにしていた。
知らないことで、辛くなることを無意識的に避けていました。
だけど、それは知らなかったからその先のことを知らなかっただけ。
やってみたら楽しいんです。
分からないということが分かるのが楽しいんです。
何より世界が180°変わったのが”面白かった”んです。
知るだけで偉い。
知ろうとするだけで、やろうとするだけで、戦おうとするだけで偉いんです。
だから今辛いと思っても、負けないで。
今でも十分あなたは偉いんです。
【どうしても…】
1人の幼い患者が緊急で運ばれてくる。
かなり切羽詰まっている様子だ。
近くには母親らしき人がいた。
「患者到着。CPA継続、胸骨圧迫下でETCO₂ 12mmHg、低灌流。
FAST(超音波)施行、腹腔内出血なし!広範囲外傷なし、血圧触知不可!外科コンサルト要請!」
「CT可能?」
「搬送困難です!治療優先。大量輸血プロトコル発動、rTPA適応検討。開胸マッサージ準備!」
「お願いです……私の一人息子なんです…!!
お願いなので助けてください…!!!この子が居なきゃ私……」
「ご家族の方ですか?、ここから先は手術室になりますので、こちらでお待ちください」
「はい……」
────────────────
「開胸開始。心拍触知なし。直視下心臓マッサージ実施。心嚢穿刺適応?」
「心嚢液貯留なし。輸血継続、ノルアドレナリン追加」
「蘇生5分経過、ROSCなし。エコー評価で心臓収縮なし、終了決定」
「蘇生処置終了、患者死亡確認。看護師、移動準備を」
「はい!担架に移乗します。
ゆっくりいきますね。せーの」
─────────────
手術室から出てきたが、未だに忙しなく急ぐ医師達
「あ、あの!」
声をかけようとしたが、届かない
──────────────
「心電図フラットライン継続。心拍触知不可。瞳孔散大、光反射なし」
「全身評価完了。蘇生困難」
「最終確認、呼吸・心拍ゼロ。瞳孔固定。死亡時刻記録」
「死亡時刻は2025年5月19日 21時17分。報告書記録、家族へ」
「了解しました」
──────────────
そしてようやく家族の元へ報告が伝わる。
もう、彼の夜が明けることはないのだと
「どうしても………駄目なんですか…?
息子は……ついさっきまで元気でいたはずなのにぃ………っ!!」
ここで助かることが出来たら、奇跡としか言いようがないだろう。
しかし、奇跡なのだから、それが起こることなどほぼありえない…
「残念ながら………お別れの時間をお取りしますので、ゆっくりしてください。」
────────────
元気だと思っても、小さなことで大事になります。
私も12歳で別れた友人がいるので、その突然の死の辛さはよく分かります。
本当に突然なんですよ。
だから、生きてることが当たり前だと思わないでください。
些細な事にいち早く気づける人になって下さい。
【まって】
「抱き枕と、回転式ペン立て、普通の扇風機、ストームグラス、人をダメにするクッション、首枕、と〜あとはスクラブとPACKテーラードコート買って来といて。この前ちょっと破けちゃってね。」
仲のいい友達に何か欲しいものはある?と聞かれたので迷いもせずにこう返した。
友達は予想以上の返しに戸惑いながらも了承を出してくれた。
「了解………って
まって、スクラブにP……?医者だったっけ…?」
「研究医だけどそんなのどうでもいいでしょ?
今は快適に過ごすことに重きを置いてるの。
スクラブとコートはついで。」
「そっちがついでかぁ…
とりあえず頑張ってね?」
そう、この人間(私)は人と話しているのに一心不乱に手を動かしているのである。
それを見て友達が励ましの言葉をかけてくれる。
のだが……
「ありがとう。じゃあついでにホットミルクも」
この図々しさには頭が上がらない。
「(じゃあとは!?でも大変そうだし、とりあえず応援しよう)」
流石に苦笑いしかできなかった友達だが、それでも心から応援してくれていたのだ。
皆、友達は大切にしよう。
【軌跡】
生きた証の軌跡って、残ってるのかな?
誰か、あとから探して追ってくれる人が、
いてくれたりしないかな
よくそんなことを考えていた
だから部屋の至る所に隠し手紙をいくつも置いていた
手紙には伝えたい話を連ね、最後に次の番号を書いて沢山軌跡を見つけてもらおうと思った
この家が崩壊するかも、引越しするかも、なんて事は考えもせず
ただ沢山軌跡になるものを隠しおいた。
本の隙間や、家族写真の裏側に入れて
手紙には―――――
『私のお母さんは、まいにち大変なことをしてます。そんなお母さんのことを誰か知ってください――――――』
『どうして泣いているお母さんを誰も慰めてくれないの?―――――』
呼び慣れない”お母さん”という表現を使って、少し背伸びをして書いた手紙
大きくなった今でも、それは至る所に隠してあります☆。.:*・゜
(実話)