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4/12/2025, 1:08:54 PM

【風景】

「最期にあなたの顔を見れて、私は幸せです。
世界がこんなに綺麗だなんて、誰が想像できたのでしょう
神様どうもありがとう…」

―――――――――――――――――――

昔ある魔法学園に通っている少女がいた。
見た目は可憐で美しく、触れると壊れてしまうのではないかと思うほど柔らかい。

しかし彼女は悩みを持っていた
彼女は盲目だったのだ。
それを理由に周りは彼女を痛ぶっていた。
それでも、彼女は言い返すことをしなかった。
1人耐えて過ごしていた。

ある女の子に出会うまでは。

これはそんな盲目の少女の物語

――――――――――――――――――

私は学園で知り合った女の子とパーティーを組んで魔王退治に挑んでいた。
その女の子は、私が盲目であることをわかった上で優しく接してくれて、時には助けてくれた。
私のヒーローだった。


「あっちゃ〜、こりゃ酷くやられちゃったね笑
蘇生もっ…無駄みたい…」


「お力になれず……ごめんなさい…」


「いいのいいの、っ……
あ〜、楽しかった……本当に人生で1番楽しかったよ」


「私もっ…です。」


「もう長く持たなそうだから、最期に話させてちょうだい…
私、本当はみんなの『英雄』になりたかったの…
魔王を倒して、辛い思いをしている人達のヒーローになりたかった

顔が醜いばかりに散々な毎日でっ…
見返したかったし…こんな私でもすごいことを証明したかった
誰かに役に立てることを示したかった……
でも、……アハハっ
魔王倒すだけで死んじゃったらっ、元も子もないよね笑
誰にも称えられることもなく
誰も私たちが倒したことなんてきっと、
知ることはない…

何事も無かったかのように日々は過ぎ
魔王を命を引き換えに誰かが倒したということすら忘れ去られていく…

どうしてこんなにっ、惨めなんだろうね…
私は本当のヒーローじゃないから、なのかな……

でも、後悔はないの、
もう、惨めな自分なんて思わない…
私にはあなたが居るから……」


堪えようとしても絶えず涙が溢れる
その涙はいつもと違った。
誰かに殴られたり、罵られたりしたあの時の涙とは
違う味がした…

この涙は甘酸っぱく、切なかった…
まるで、こんな世界に未練があるかのような


「私も………あなたに出会えて…幸せでした…
あなたがあの時私を救ってくれなければ、
私は今頃ここにはいませんでした……

私も、最期なので、少し話したいです…」


「なんでも聞くよ」


優しい声だった。いつもそう。
言葉こそは強かったけれど、あたたかい


「実は私………元々は目が見えたんです。」


声は出ていなかったけれど、驚いた気配を感じた。


「私が男じゃないばかりか、それほど強くもなくて、少しのことで親は気に入らない私に暴力を振るいました。
ある日、私が間違えて親のお気に入りだった洋服をダメにしてしまいました

そうしたら、『お前の目もダメにしてやろうか』って、

何も見えない世界は怖かったです。
不便でしたし、何より見えないところから殴られたり蹴られたりするのが怖かったのです…
でも慣れて、1人で生活出来るようになってからは辛くなくなりました。

逆に『こんな世界見えない方がマシだ』ってそう思ってました。
私の見えている世界はくすんで薄汚かったです。

こんな汚い世界、見えなくて正解なんだって
目が見えてた時に見た親の顔は今も鮮明に覚えています。
見えない方が良かった。きっと思い出して辛くなることもないんだと。」


「そんなに……辛い想いをしていたんだね…
許せない…子供の目を使えないようにするなんて……」


「今でも憎いです……なぜならあなたの顔が見えないのですから……

あなたに出会って初めてまたこの目で世界を見たいと思えました。
忘れたくなかったから…あなたことを
目に焼き付けて、ずっと覚えておきたい
どんな顔をして、どんな姿をしているのか、
目は何色で、どんな髪型で、どんな風に笑うのか……

醜いことなんてどうでもいい

私はあなたを知りたい……
またこの目で世界を見たい……」

今まで見ようと思わなかったのは
この世界が汚いからじゃない

きっと、見たくなかったから

でも、今はあなたを見たいと強くそう思うのです…
叶わない夢を抱いて死んでいくのは、辛いなぁ…


「君の見た最後の人が、私になってくれたらいいなって、わがままかな?……」


そんな言葉が聞こえた直後、目が急あたたかくなった

なんだろう……?眩しいような…


「目を開けてごらん」


ゆっくりと目を開く
周りには蝶や、鳥が飛んで
空は快晴の青空
海の向こう側まで見えるような澄んだ景色
魔王の返り血で汚れた私達は、
こんな場所に見合わないくらい世界は輝いていた。
昔見た景色とは全く違う。

とても綺麗で、生き生きしていた。

そして微笑みかけているあなた


「誰よりも素敵な顔をしていらっしゃるじゃないですか」


透明な頬が少し赤らむ
直後、あなたは私の手を強く握ってこういった


「どうか、私のことを忘れないで………」


「はい、約束です。
この繋いだ手も、もう一生離しません。」


微かに、あなたが微笑んだ気がした

3/29/2025, 10:29:04 AM

【涙】

泣くことが恥ずかしいと思ったことは無いでしょうか。


辛くて、苦しくて、でも甘えては行けないから泣いては行けない。
泣いたところを見られたら弱いやつだと思われる。
泣くやつは弱いやつなんだ。恥ずかしいことなんだ。

そもそも泣いてる顔を誰にも見られたくない。きっとその時の顔は惨めで醜いんだ。


私もよくそう思ってました。
でも、それは違うのではないかと最近は思います。

「涙の数だけ強くなれる」
受験を経験した今の自分にはよく分かります。
分からないことが辛かったり
親に聞いてもこんなことも分からないのかと言われたり、怒鳴られたり
この苦しい受験はいつ終わるんだろうと
よく泣いていました。
でも、その泣いた分だけ次はちゃと解けて、やってよかったと思いました。

泣くことは恥ずかしいことじゃない。
その涙の数だけ、あなたは強くなれているんです。

3/24/2025, 12:48:56 PM

【もう二度と…】


「ほんっとリア充って羨ましいわぁ」

「そうかなぁ、私はフリーの方が自由でいいと言うか、たくさんの選択肢があるじゃん」

「なーに言ってんだか!羨ましくて心から爆発お願いいたしますって感じだよぉ~」

「あはは、そのうちいいひと見つかるから大丈夫だって」

「ん~そう…?そうだといいなぁ」

「そうだよ。選択を間違えなければ、だけどね…」

フリーの友達を見ながらつくづく思う。
心から。本当に好きだと思う人以外は付き合っては行けない。
しかし私は選択を間違えてしまった。
意地を張るための付き合いなんて絶対しちゃダメ

冷静な今考えると分かる。あんなに想っていなければ…きっと辛くならなかった……こんなに恋が辛いなんて、

私の最初で最後の恋は、あの時無惨にちってしまったのだ

――――――――――――――――――――――

「ねぇ……何でこんなこと言ったの…?信じてたのに…」

「悪気はなくって…、ただ出来心というか」

「もういいよ……」

「ほら、拗ねちゃったじゃん!謝りなよ!!てか何したかほんとにわかってる??」

「あ、う、うん。不適切な発言をして傷つけてしまいました…」

「ごめん、私もう行くわ…」

「あ、!ちょっとまだ謝罪貰ってないよ!!
ほらー!行っちゃったじゃん!」

「巻き込んでごめん。」

「謝る人間違えてるでしょ!!本人にいいなよ!私はいいの!」

教室に出て少しした所までも、友達の声は高く響いた。好きな人に言われた言葉があまりにも衝撃的すぎて、私は裏切られた気持ちに虐げられていた。
そして遂にはその日謝罪を貰えなかった。

取り合ってくれた友達への謝罪はしっかり聞こえた。
でも、私への謝罪をしてくれなかった。
裏切られたという気持ちに、謝罪をされなかったことから来る相手から見た私の価値の低さに心が苦しくなった。

「私って…何されても謝罪なんて必要ないと思われる人間なんだ……

きっと今までもそうだったんだ、一緒に遊んでくれた時も、手を繋いでくれた時も、
私……、好きなのに………相手はなんとも思ってなかった、なんなら可哀想な奴だとでも思われてたんだ

どうして…、私、何がダメなのかな……、、

裏切られた今でも私は好きで好きでしょうがないのに……」

すごく辛かった……つい、この苦しい気持ちを吐き出したくて、ある人に相談に乗ってもらった。

思っていたことを思うだけでなく具現化することで気持ちを整理してやるべきことを見つけられた。
話すことが大事だという事がよくわかった経験だった。

そしてそれから少し経ったあるクリスマスの日
私は相談に乗ってくれた人から告白された。

正直好きではなかった。
全く好きなタイプと真逆だった

けれど、私はその人の手を取った。
きっと私は、好きな人に意地を張りたかったのだ。
もう私は居ないんだと。

そして私は、自分で自分の気持ちを踏みいじった

――――――――――――――――――――――

「私の恋はもう二度と実らないんだ…」

「え?」

回想を巡らせている間に、遂口に出てしまっていた。
相手が勘づいて変な気を使わせる前に早口で訂正した。

「なんでもないよ!」

「そう…?」

「うん、なんでもない。」

絶対に、選択は間違えては行けない。

2/10/2025, 1:26:28 PM

【星に願って】

「まじ失敗したわ〜」

「どしたん?」

「いやプール授業がある高校選べば良かったなーって今更ながら思うんよ」

「お前泳ぐの好きだったんだ?」

「はぁー?ちげーし」

「あ?んじゃなんだよ分からんわ」

「お前男なのにわかんねーの?水着姿が見れる貴重な瞬間だぞ??」

「そんなの知るか!てか見たいなら海にでも行けばいいだろ」

「チッチッチ~JKの良さがわかってないな~…」

「お前がその内ニュースに流れてきそうで怖いわ」

―――――――――――――――――――――――

こんな他愛もない会話が好きなんだ。

けどそろそろ言わなくちゃだよね
向こうは気づいてないかもしれないけど

神様どうか
僕の願いを聞いてください。

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「あんたまた散髪行くの?」

「うん。少し伸びたから切りたいんだよね」

「へーでもそんなに短くしなくったっていいでしょ?」

「邪魔にしかならないからいいんだってば」

「はいはい。それじゃあ帰りの時間分かったら連絡してね」

「うん」

―――――――――――――――――――――――

誰よりも傍にいたいから
まだ言いたくないなぁ…

きっと知ってしまったら
君は変わってしまうよね

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「――………」

「ごめん」

「はぁ?」

っ……やっぱり…駄目…

「何謝ってんだよ?
お前はお前だろ?
性別なんて関係ねーし笑

そんな事より今食堂でカレーパン売ってるらしくてさ!
まじ腹減ったから一緒に行かね?
数量限定だから急げー!」

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そうだった
こんな君だから好きなんだ

2/9/2025, 3:36:26 PM

【君の背中】

私が恋した男の子は、13歳の時にこの世を去りました。
いきなり過ぎた出来事で、初めは名前が聞こえませんでした。

「残念なお知らせです。先週--~--さんがこの世を―…」

本当にその名前の所だけが聞こえなかったのです。

小学生の頃、私はいつ間にか好きになってあなたをずっと見ていました。
私は恥ずかしがり屋で、告白なんて出来ませんでした。
2人きりの時間なんて沢山あったのにも関わらず。

勇気が出てからでいいよね?
そんな甘い考えは駄目だったのです。

こんな事になるのだったら、私が預けられる人になれれば良かったのに――

立ち直るには3年が必要でした。
そして又、私は恋をしました。

けれど、又私は見ています。
君の背中を見ていることしか出来ないのです。
私なんかよりもいい人がきっと居ると、傍にいることしか出来ずにいるのです。

また私が後悔しないうちに、その背中を誰かに預けてやってください。

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