ストック1

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11/11/2025, 11:24:30 AM

「今日こそ決着をつけましょう」

私の前で優雅にコーヒーカップでブラックコーヒーを飲む彼女からは、凄まじいオーラを感じる
しかし負けるわけにはいかない
ティーカップで無糖紅茶を飲みながら、私もオーラをたぎらせた
それぞれの力がぶつかり合い、火花が散る

「望むところよ
必ず勝ってみせる」

戦いの火蓋が切って落とされた
お互い座りながら、紅茶もしくはコーヒーを飲み、それを力に変えてオーラをぶつけ合う
そうして倒れず最後まで座り続けたほうが勝ちだ
彼女の重たい一撃が勢い良く襲いかかる
私はシールドを展開して防御するも、多少突破されてしまう
さすがはカフェインが紅茶の2倍だけのことはある
これがカフェイン力の圧!
私も防御の合間を縫って攻撃オーラを放つも易々と防がれてしまう

「あなたの攻撃、少々軽いのではありませんか?
私の防壁を破れるのかしら?」

彼女は早くも余裕の態度
しかし……

「何事もやり方次第よ
ほら」

いくら分厚い防壁でも、全体が堅牢な訳がない
弱い部分は必ず存在するのだ
そこを攻めれば、紅茶のカフェイン力でも突破は可能!

「そこね!」

「くっ、なかなかやってくれますね
しかし私の強力な一撃を防ぎきらない限り、あなたには敗北しかないのですよ!」

コーヒーの強力な一撃が降りかかる
カフェイン力の差はやはり厳しい
またシールドは破壊される
相手のオーラの威力はかなり強い
このままでは押し負ける
けれど、相手の攻撃の癖は見切った

「どんどん行きますよ!」

コーヒーのカフェイン力に裏打ちされた強力無比の連続攻撃
こんなものを喰らったらひとたまりもない
そう、喰らってしまえば
私は相手の攻撃の度、シールドを全体に張らず、オーラが飛んでくる箇所のみにシールド展開することで、耐久力を高めた
いかにコーヒーのオーラといえども、ピンポイントで防御力を集中されれば突破は不可能
そうしている間に私は彼女の張ったシールドの弱点を突き、ジリジリと体力を削っていく

「そんな高度なテクニックを持ってるなんて……!」

「どう?
このままじゃあ、時間はかかるけど、私の勝ちは確実よ
降参する?」

「冗談じゃないですよ!
あなたはまだコーヒーのカフェイン力の恐ろしさを知らないのです」

彼女はコーヒーを連続で何杯も飲み干した
オーラが何倍にも膨れ上がる
次で終わらせるつもりだ!

「喰らいなさい
私の最高の一撃を!」

私も紅茶を何杯も飲み、カフェイン力を高めた
全てを破壊するかのような恐ろしいオーラが私目がけて突進し、私は即座に多重にシールドを展開
しかし何杯分ものコーヒーのカフェイン力による圧倒的暴力は、シールドにすぐさまヒビを入れ、最終的に私は、オーラを防ぎきれずにこの身に受けることとなった
私のティーカップも割れ、もう紅茶のカフェイン力を補充できない

「ぐぅっ……!
……これまで……ね」

全カフェイン力を使い果たし、疲労をにじませながらも目の前には勝ち誇る彼女の顔
攻撃の反動で、彼女のコーヒーカップもヒビ割れている

「……ハァ、ハァ……
ええ、私の勝ちです!」

「いいえ
……私の勝ちよ……」

「!?」

私は最後の、ほんのわずかに残ったカフェイン力で、オーラを放つ
彼女はもう防御できない
私のオーラをもろに受け、その場に倒れた

「そんな
わずかとはいえ、どこにそんなカフェイン力が残っていたのですか……?
それに、あの一撃を耐えるなんて……」

「簡単よ
あの一撃だって全体が最大火力な訳がない
オーラの中で、最もカフェイン濃度の濃い箇所に対してだけシールドで防御したのよ
逆にダメージが低い箇所は防ぐことなく受けたけどね
それでも、ギリギリだった
そして、効率的に防御したことで余ったオーラを、攻撃に使ったってわけ」

耐えきれるかどうかは、賭けだったけど

「そこまでの覚悟と、技術を持っていたのですね
私の完敗です
この街の紅茶ショップをコーヒーショップに変える野望は、諦めましょう
素晴らしい強さでした」

「あなたも、恐ろしいほどの力だったわ
また手合わせしたいものね」

「ええ、是非
次は負けません」

こうして、コーヒー組と紅茶組の激しい戦いは幕を閉じた
今後はお互いを尊重できるようになってほしいと、切に願う
とりあえず、割れたティーカップを買い換えよう
最後に約束した、次の戦いに備えて

11/10/2025, 11:18:50 AM

最近、どうにも寂しくて
何が寂しいって、あれだよ
口寂しいんだよ
食事は朝昼夜としっかり食べてる
適当なものになりがちな朝食も、前日に用意して、翌日には大した手間なくすぐ食べられるようにしてるから、他の時間に引けを取らない量は食べているはずだ
にもかかわらず、10時頃と15時頃、20時頃になると間食をしたくなってしまう
ポテトチップスを食べたり
準チョコレートを食べたり
コーンスナックを食べたり
当然のことながら1日3食しっかり食べて、1日3回の間食までしたら間違いなく健康に悪いはずだ
けっこう間食もがっつりいってる
非常によくない
しかしそれでも、止めることができない
原因は不明
こういう場合はたいていストレスのせいだけど、思い当たるフシはない
なぜこんなに食べたいんだろうね
あぁ、今もまた食べたくなってきた
ダメだ、我慢できない
ちょっとまた菓子でも食べよう
んん?
なんだか急に体が重くなったような……
なにかおかしいぞ
鏡は……
なんだこれは
この化物が僕だっていうのか……?
なんなんだこの姿は
いや、そんなことはどうでもいい
菓子を食べるのだった
口寂しい、口寂しい
ああ、まだ足りない
もっと、もっともっと食べないと
口寂しい、口寂しい


妖怪 くちさびし
この妖怪はいくら食べても腹が満たされることはなく、いくらでも食べられる
常に口寂しく、食べ物を食べずにはいられない性質
人間がこの妖怪に変化する場合がごく稀にあるが、原因は不明

11/9/2025, 12:30:26 PM

私の存在が巨大な意思の一部になりかけている
心の境界線も曖昧になりつつある
私のものではない思考が私の頭に入って来ており、おそらく私の思考も巨大な意思へと流入していることだろう
恐怖はない
むしろ今、心を支配するのは安心感だ
私の意識は消失するのではなく、融合するだけ
孤独な人生を送ってきた
ずっと、仲間を求めていた
だが私は、他人とうまく付き合うことができない
そして、私に合わせられる者などいなかったのだ
しかし、この巨大な意思の流れの中に自分の意思が混ざり、ひとつとなれば、もう孤独ではなくなる
そうすることで、私の心は初めて満たされるのだろう
私のこの肉体も、溶け込んだ意思に相応しい姿となる
もはや境界線は失われた
私に新たな感情が芽生える
彼の孤独はこれで癒えたのだ
彼もすでに私である
彼(私)が満たされたのは喜ばしいことだ
ともに歩もう
この巨大な意思の中で

11/8/2025, 11:30:57 AM

だいじなもの
「透明な羽根」
白炎の魔竜から落ちた羽根
手に取ると心を震わすほどの圧を感じる


ゲーム開始時から持ってるアイテム
使いどころが訪れなかったよ
楽しみにしてたんだけどなぁ、白炎の魔竜とのレイドバトル
ストーリーに出てきた時はかっこよかったし、戦う日を考えてワクワクしてたのに
俺は面白いと思ったんだけど、ウケが悪かったか
サービス開始から一年ちょっと
満足いただけるサービスを続けることが困難になったらしく、終了を決定
ここから残りわずかではありますが、完結に向けて色々やるらしい
悲しいなー
なんだかんだ、キャラにも愛着があっただけに
これが俺にとって微妙な出来なら、しょうがないねで済むけど、ハマっちゃったから
ただ、大多数のプレイヤーの感覚とはズレてたんだろうな、この結果を見るに
せめて透明な羽根の伏線を無理矢理にでも消化してほしい
白炎の魔竜かっこいいんだもん


とか言ってたら
戦うことは叶わなかったけど、最終戦で透明な羽根によって白炎の魔竜が馳せ参じ、主人公とともにラスボスと戦う展開になった
かっけー!
まさか味方として共闘してくれるとは思わなかった!
ラスボス戦はイベント戦扱いで、ほぼ勝ちが確定してる内容なんだけどね
それでも
いや、だからこそ白炎の魔竜のかっこよさと熱い展開が成立すると言える
最後の最後にいいもの見せてもらったな
もっと続いていたら白炎の魔竜のかっこいいところ、もっとたくさん見られたんだろうな
でもそんなことを言ってても仕方ない
また面白そうなゲームを探すとしよう
似たような世界観のやつがいいな
しばらくはロスが続きそうだ

11/7/2025, 10:30:28 AM

灯火を囲んで、みんなで手を繋いで、回る回る
変な言葉を発しながら回る回る
キュインキュインという怪しげな音をスピーカーから流して回る回る
勘弁してくれ
こんなわけのわからない儀式、もう終わらせてくれ
こんなバカみたいなこと、俺はやりたくないんだ
いや、俺だけじゃない
みんな心はひとつのはずだ
本気でやってる奴なんて誰もいないんだ
そして、誰も本気でやってる奴がいるなんて思ってないんだ
ただ、誰も望まない同調圧力に屈せざるを得ない
全員がやめようと言えば、すぐにでもやめられるはず
しかし、ひとりで言うのは勇気が必要になる
たとえ、誰ひとりとして真剣にやっている者がいなくても、だ
誰かがやろうと言い出した
なんでそんなアホなことを言い出したのかは、覚えていない
ただ、全員気がちっちゃく、拒否や否定が苦手な人間だったために、止める者がおらず、結果今に至る
俺もその一人だ
さて、俺たちはここでいったい何をしているのか
それは……UFOを呼ぼうとしているのだ
さっきから回り続けているが、一向にUFOなど現れない
それはそうだ
仮に宇宙人が地球を観察しているとしても、こんな適当に考えた呼び出しで来てくれるはずがない
はたから見たら狂った集団
しかしその実、ただ気が弱くて言い出せない臆病者の集まりだ
ああ、いつまで続くのだろう
この虚しい謎儀式は
夜も遅いし、さっさと帰りたいな
でもこの調子じゃあ今日中には無理だろうな

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