「今日こそ決着をつけましょう」
私の前で優雅にコーヒーカップでブラックコーヒーを飲む彼女からは、凄まじいオーラを感じる
しかし負けるわけにはいかない
ティーカップで無糖紅茶を飲みながら、私もオーラをたぎらせた
それぞれの力がぶつかり合い、火花が散る
「望むところよ
必ず勝ってみせる」
戦いの火蓋が切って落とされた
お互い座りながら、紅茶もしくはコーヒーを飲み、それを力に変えてオーラをぶつけ合う
そうして倒れず最後まで座り続けたほうが勝ちだ
彼女の重たい一撃が勢い良く襲いかかる
私はシールドを展開して防御するも、多少突破されてしまう
さすがはカフェインが紅茶の2倍だけのことはある
これがカフェイン力の圧!
私も防御の合間を縫って攻撃オーラを放つも易々と防がれてしまう
「あなたの攻撃、少々軽いのではありませんか?
私の防壁を破れるのかしら?」
彼女は早くも余裕の態度
しかし……
「何事もやり方次第よ
ほら」
いくら分厚い防壁でも、全体が堅牢な訳がない
弱い部分は必ず存在するのだ
そこを攻めれば、紅茶のカフェイン力でも突破は可能!
「そこね!」
「くっ、なかなかやってくれますね
しかし私の強力な一撃を防ぎきらない限り、あなたには敗北しかないのですよ!」
コーヒーの強力な一撃が降りかかる
カフェイン力の差はやはり厳しい
またシールドは破壊される
相手のオーラの威力はかなり強い
このままでは押し負ける
けれど、相手の攻撃の癖は見切った
「どんどん行きますよ!」
コーヒーのカフェイン力に裏打ちされた強力無比の連続攻撃
こんなものを喰らったらひとたまりもない
そう、喰らってしまえば
私は相手の攻撃の度、シールドを全体に張らず、オーラが飛んでくる箇所のみにシールド展開することで、耐久力を高めた
いかにコーヒーのオーラといえども、ピンポイントで防御力を集中されれば突破は不可能
そうしている間に私は彼女の張ったシールドの弱点を突き、ジリジリと体力を削っていく
「そんな高度なテクニックを持ってるなんて……!」
「どう?
このままじゃあ、時間はかかるけど、私の勝ちは確実よ
降参する?」
「冗談じゃないですよ!
あなたはまだコーヒーのカフェイン力の恐ろしさを知らないのです」
彼女はコーヒーを連続で何杯も飲み干した
オーラが何倍にも膨れ上がる
次で終わらせるつもりだ!
「喰らいなさい
私の最高の一撃を!」
私も紅茶を何杯も飲み、カフェイン力を高めた
全てを破壊するかのような恐ろしいオーラが私目がけて突進し、私は即座に多重にシールドを展開
しかし何杯分ものコーヒーのカフェイン力による圧倒的暴力は、シールドにすぐさまヒビを入れ、最終的に私は、オーラを防ぎきれずにこの身に受けることとなった
私のティーカップも割れ、もう紅茶のカフェイン力を補充できない
「ぐぅっ……!
……これまで……ね」
全カフェイン力を使い果たし、疲労をにじませながらも目の前には勝ち誇る彼女の顔
攻撃の反動で、彼女のコーヒーカップもヒビ割れている
「……ハァ、ハァ……
ええ、私の勝ちです!」
「いいえ
……私の勝ちよ……」
「!?」
私は最後の、ほんのわずかに残ったカフェイン力で、オーラを放つ
彼女はもう防御できない
私のオーラをもろに受け、その場に倒れた
「そんな
わずかとはいえ、どこにそんなカフェイン力が残っていたのですか……?
それに、あの一撃を耐えるなんて……」
「簡単よ
あの一撃だって全体が最大火力な訳がない
オーラの中で、最もカフェイン濃度の濃い箇所に対してだけシールドで防御したのよ
逆にダメージが低い箇所は防ぐことなく受けたけどね
それでも、ギリギリだった
そして、効率的に防御したことで余ったオーラを、攻撃に使ったってわけ」
耐えきれるかどうかは、賭けだったけど
「そこまでの覚悟と、技術を持っていたのですね
私の完敗です
この街の紅茶ショップをコーヒーショップに変える野望は、諦めましょう
素晴らしい強さでした」
「あなたも、恐ろしいほどの力だったわ
また手合わせしたいものね」
「ええ、是非
次は負けません」
こうして、コーヒー組と紅茶組の激しい戦いは幕を閉じた
今後はお互いを尊重できるようになってほしいと、切に願う
とりあえず、割れたティーカップを買い換えよう
最後に約束した、次の戦いに備えて
11/11/2025, 11:24:30 AM