ストック1

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12/16/2024, 11:05:56 AM

(昨日の「雪を待つ」の続き)

はっはっはっ
笑っちゃうよ
雪を見られたのはいいけど、結局風邪をひいたね
でも後悔はしていないよ
初めて雪というものを見られたんだから
風邪ひいたってことは私はバカじゃなかったんだね

「お前はバカではないだろうが、別にバカでも風邪はひくだろ
あと、今度はもっと防寒対策しような
雪だるま作ったあと、また風邪ひいたら大変だからな」

うん、そこは反省点だよね
どうも私はそういう計画性が足りないところがある
正直言って、あんなに寒いとは思わなかったな

「で、大丈夫なのか?」

大丈夫といえば大丈夫かな
体温は高いけど、思ったより辛くないよ
でも今、家に誰もいないからほんの少し心細いね

「それで電話かけてきたのか
俺で心細さが紛れるなら、いくらでも付き合うぞ」

君、けっこう優しいよね
友達思いだし
君が他人にはっきり文句言ってるところとか、見たことないよ
意見する時も、相手が嫌な気分にならないような言い方が多い気がするし

「急にどうしたんだ?
風邪で弱って俺が聖人にでも見えたか?」

かもしれないね
でも、私は普段から君のことを本当にすごいと思ってるよ
なんで友達が少ないのか、わからないな
みんなの愛されキャラにだってなれそうだけど

「俺は本当に気の合う少数とつるむのが好きなんだよ
誰彼かまわず友達になるってのは、俺の趣味じゃないからな」

私がその少数の内のひとりになれたのは、光栄に思ったほうがいいのかな?

「俺はそんな大物じゃないぜ」

そうかな?
私は大物だと思うよ?

「はいはい」

さて、通話はこのへんにしておくよ
ありがとう、おかげで少し元気になれた

「もういいのか?」

うん、気分の悪さがだいぶ和らいだよ

「そうか、それはよかった
じゃ、お大事にな
もう一回言うけど、来年、雪が積もって雪だるま作る時は、寒さに気をつけろよ」

うん、それじゃあ

「またな」

風邪ひいたのなんてすごく久しぶりだから、すごく気分が下がったけど、なんとか乗り越えられそう、かな

12/15/2024, 11:26:06 AM

今日は雪が降る気がするって?
十二月にこのあたりの地域で降るわけないだろ
予報だって曇りだし
お前は本当に思いつきで行動するよな
このままずっと雪を待つつもりか?
俺は寒さに強いから大丈夫だけど、こんなところに居続けたら風邪ひくぞ

「私はバカなので、風邪はひかないよ」

急に自虐するなって
お前レベルでバカだったら俺なんて塵カスだよ
おっと、俺も自虐してしまった
ともかく、そんなワクワクした目で空を見ても、降らないっての
奇跡でも起きない限りはな

「奇跡というのはね、不可能とイコールじゃないんだよ
ただ、確率がとても低いだけ
雪が降るのは奇跡かもしれないけど、それは絶対に降らないことを意味しない」

なんか屁理屈の臭いがプンプンするんだが
まあいいや
とりあえずどっか屋内に入って、外が見えるところで待機してようぜ
自販機であったかい飲み物買ってやるから

「大丈夫
私は外で降るところを見たいから、君だけ入っててよ」

あー、わかったよ
お前はどうあっても外にいるんだな
俺は寒くても全然平気だから、お前に付き合うよ
風邪ひいても知らないからな
一時間でも二時間でも、なんなら夜まででも、雪を待ってやる

「ありがとう
早く降るといいけど」

まったくだ
ん?あれ、もしかして

「降ってきたね」

本当に降りやがった
お前、超能力者か何かかよ

「そんなサイコパワー持ってたら、こんなところでのんびりできる生活は送ってないだろうね」

まあ、そうだな
で、どうだよ?
人生初の生で見る雪は?

「思ったよりフワフワした感じで落ちていくんだね
なんだか、可愛らしくてきれいだよ」

今日は積もらないだろうけど、来年降ったら積もるかもな
その時は雪だるまでも作るか?

「いいね、作ってみるのが夢だったんだ
大変そうだけど、頑張るよ
楽しみが増えた」

雪道は歩くのが大変だから、気をつけろよ
油断してるとすぐに滑るんだよ
お前、運動とか苦手だから、転ばないか少し心配だ

「うん、気をつけるよ
また、一緒に雪を待ってくれるかな?」

ああ、いいぜ
けど、今度は雪の予報が出てからにしような
奇跡は頻繁に起こらないし、風邪ひいたら大変だろ

「そうだね
不可能じゃないからといって、必ず起きるわけじゃないからね」

お前となら、雪が降るまでただ待つのも、なんだかんだ楽しいんだよな

「奇遇だね、私もだよ」

12/14/2024, 1:48:44 PM

私は何をやっているんだ
私の全身にはLEDが付けられ、チカチカしながら輝いている
友人にツリー役として、ただ立っていてくれと頼まれた
けっこういい金額が貰えるというので受けたのだが、なんというか、なんとも言えない
公衆の面前でイルミネーションを光らせながら装飾されたもみの木のコスプレはなかなか精神に来るものがある
だいたい木の役って、学芸会じゃないんだから
いや、今日び学芸会だって出番の差はあれど、ちゃんとした役を当てられ、木の役なんて存在しないだろうに
近くでは友人たちがサンタとトナカイをやっている
その横でやはり私は何もしなくていいらしい
もうこんなことするならツリー用意しろよ
しかし友人によると、明らかに人がやってるもみの木が、終始何もせずに突っ立ってるだけというのが、最高に面白いのだそうだ
理解不能
そんな中、なんと私のイルミネーションをきれいだという親子が現れた
私は自分の姿は見られないのできれいかどうかわからないが、どうやら私のイルミネーションに子供が魅入っているらしい
なんか、悪い気はしないよね
友人たちの思考は全く意味不明だけど、こうして喜んでくれる子供がいてくれるなら、やったかいがある
おまけにけっこういい金額貰えるし
私の姿を見て楽しい気分になる人がいるのなら、私は進んでイルミネーション輝くもみの木のコスプレイヤーになろう

12/13/2024, 10:24:53 AM

愛を注いでも、三分待ったぐらいじゃダメです
カップラーメンはお湯を注いで三分でできたりするけどね
気長に待つことが大事なんです
あと、注ぎ続けないと意味がありません
大変ですね
しかし、カップラーメンでは得られないものがそこにある!
心の栄養は愛を注ぐことで摂取可能!
大切に注げば、とても美味なものができあがります
舌ではなく心で味わうのです
心が満足感に包まれます
しかし、満腹にはなりません
心は満足感があっても、これ以上入らないなんてことにはならないのです
心の栄養というのは、愛です
愛はいくらでも心に入ります
そして愛を注ぐと自分に愛が返ってきます
お互い愛を注ぎ合って、幸せになりましょう!

12/12/2024, 10:37:32 AM

私は日曜朝あたりにやってる感じの番組に出てきそうな戦士
ナビゲートしてくるよくわからん不審な生物によると、仲間同士、心と心が重なり合うと、秘められた本当の力を発揮できるらしい
抽象的でよくわからないけど、仲良くなればいいってことでしょ
まさか仲間と同じ気持ちとか、一心同体レベルで心がシンクロするみたいなことじゃないよね?
ていうか、心と心を重ねるとか言ってるけど、相手の気持ちなんて本人じゃないとわかりようがないし
仲良くできるのは嬉しいけど、お互い考えてることがわかるとか、お見通しとか、不気味すぎるでしょ
よくそういうシーンアニメであるけど
私は、いや、人はみんなもっと複雑な感情を持ってるんだから、ある程度推測はできてもお見通しなんてありえないと思うんだよね
だからたぶん、心と心を重ねるって、そんな大したことじゃなくて、協調性があって、お互いに絶妙な距離感で付き合って、連携が取れればいいってことじゃないの?
まあ、仲間のことは好きだし、居心地いいと思えるから、それでじゅうぶん秘められた本当の力とやらを出せると思うよ

「大変!心と心の絆のつながりが弱くて力が発揮できてないキャロン!」

は?
私か!?私のせいなのか!?
な、なんか、私の光だけ弱いんだけど!?
でも友情は感じてるよ!?
そりゃあ、私はみんなの深い部分までズカズカ入り込もうと思ってないし、干渉しすぎないでほしいと思ってるよ?
でも普通そうじゃん!
親兄弟じゃないんだからさ、そんな深入りしたくないし踏み込んでほしくもないでしょ!?
あれぇー?
みんな重くない?
友達ってそんな重かったっけ?
ってことは私以外みんな仲間のことがとてつもなく好きで、なんなら自分が傷つくことがあっても守りたいみたいな感じに思ってる?
しかもみんな、やっぱりね、みたいな、半分呆れてるような笑顔を浮かべてるし
えっ、私の考えとかわかっちゃう感じ?
私の心のプライバシーは?
私以外明らかに心と心が重なってるよ
だって眩しいくらい輝いてるもん
あの、やめて
慰めるみたいに肩をポンポン叩かないで
抱きしめながらよしよしみたいに頭さするのやめて
そんな友達がほしいのに強がって友達なんていらないみたいなこと言ってる子を温かい目で見るみたいな眼差し向けないで
別に人間不信とかじゃないから
みんなより友達との付き合い方が淡白なだけだから、平均的なだけだから
もしかして、平均的じゃない?
私、冷淡?
あー、なんていうか……これからはもう少し友達のこと、大切にしてあげようと思いました

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