奇跡を活かせなかった?
もう一度起こらないかな?
奇跡は待っているだけじゃ起こらない
前提として、奇跡を起こすための努力が必要だ
ものにできなかった奇跡をもう一度起こしたいなら、
偶然に頼らず、自らの手で掴み取るのだ
そうすれば、奇跡は何度でも起こせるはずだ
待て、それはもはや奇跡ではなく、
努力の賜物なのではないのか?
こちらが何もしなくても、
たまたま幸運なことが起きるから奇跡なのだろう
奇跡をもう一度起こしたい場合、
本人にできることなどなにもない
できることといえば、ただ座して待つことのみだ
いやいや、そんな極端な
奇跡というのは努力だけで起きるものでも、
偶然だけで起きるものでもないでしょう
努力して発生する土台を作りつつ、最後は偶然に頼る
その結果起きたらラッキー、
というのが奇跡じゃないんですか?
もう一度狙って確実に起こすのは無理ですし、
ただ待っているだけでも、
もう一度奇跡を起こすのは無理だと思いますよ
三人はそのまま奇跡とはなにかの議論を始め、
私がどんな奇跡を待ち望んでいるかについては、
一切聞くことなく
私のことを置いてけぼりにして白熱するのだった
あっ、私は二人目の意見に賛同します
日が沈んでいく、たそがれ時
だんだんと暗くなる様は、
人に物寂しさを感じさせるもののひとつだろう
これから夜が始まるのだ
そんな中で私は、
寂しさとは無縁、周囲の薄暗さとは真逆の感情で、
軽やかに歩を進める
周りが暗くなっていこうとも、
私には一切関係がない
これから長い間会っていなかった友人と、
店で焼肉を楽しみながら
これまでのことや近況を語り合うのだ
たそがれに街が少しずつ暗くなっていくのは、
友人と会う約束の時間までの
カウントダウンのようで心がウキウキし、
夜だというのに私の心は真昼のような明るさだ
さあ、なにから話そうか?
向こうは何を話すだろう?
街は夜に染まっていく
今日も、昨日も、一昨日も、その前も
ずっと嫌な一日だった
毎日こんな感じなのか
きっと明日も悪いことが起こる……
そんな風に考えていたら、
よくなるものも悪くなっていく気がしたので、
無理矢理にポジティブにはなれないけど、
ちょっと自分の行動を変えてみたり、
できることはしてみようと思った
すぐに状況は変わらなくても、
少しずつ変えていくために努力すれば、
いい方向に近づいていけるかもしれない
落ち込みながら、それでも諦めずに進む
そうすれば、きっといつかの明日は輝くだろう
そう信じる限り、きっと明日も頑張れる
ここには私の他に誰もいない
この静寂に包まれた部屋は今、私だけの空間だ
今日は休日で、出かける予定はない
家族はそれぞれの用事で外出中
やるべきことを早くに済ませて、
私は一人だけの時間を、何もせずに浪費していた
せっかくの休み
それも誰もいない休みに何もしないなんて、
もったいないと思う人もいるかもしれない
しかし私は、誰もいないからこそダラダラするのだ
誰かがいれば、その家族と話したり、
家族のために何かをしたり、
なにかしらのやることができてしまうだろう
だが今は一人
すべてを投げ出して、全力で休むことができるのだ
たった一人の自宅で、
ただただ何をするでもなく過ごす
これほどの贅沢はそうそうないだろう
家族が帰ってくるまで、
私は至福の時を楽しむのだ
あいつとは昔から気が合う
趣味や好きなものがだいたい似ていて、
しかもお互い程よい距離感で、
肩の力を抜いて接することができる
あいつの前では、
何も考えず素の自分をさらけ出せる
だからといって、
何でもかんでも言えるわけではなく、
やはり言いづらいこともけっこうあるのだ
それはきっと向こうも同じだと思う
そんな感じなので、あいつのいくつかの言葉から、
明らかにネットに載せている僕の小説を
あいつがそうとは知らずに読んでいると気付いても、
僕が作者だとは言えずにいる
言いたい気持ちはあるけど、
あいつは僕の小説を気に入ってるらしく、
正体を明かすのは少しこっ恥ずかしいのだ
今日も遊びながら、僕の小説の話が出てきた
昨日更新したやつだ
感想を言われると毎回毎回、
なんだかくすぐったい気持ちになる
一度読んでみてくれと言うけど、
それ、僕が書いてるんだよね、言えないけど
そんなこんなで、
遊び疲れて解散しようとなり、
お互い帰路につこうとした時、
別れ際にあいつがこんな事を言った
「小説、次の話も期待してるぞ」
僕は目を見開いて驚いた
僕が作者だと知っていたんだ
同時に、なぜ僕に何度も小説の話を振ったか、
その理由がわかった
ああ、そうか
僕が言いづらかったように、
あいつも僕だと知った上で読んでること、
言いづらかったんだな
だからわざと話題にして、
こっちが自分から明かすのを待ってたんだ
でも僕が明かさないから、
思い切って言ってみたんだろう
僕はすぐに笑ってみせ、
「期待を超えるつもりだよ」
と、少しカッコつけて言った
あいつも「楽しみだ」と笑うと、
人混みの中へと消えていった
僕はなんとも言えぬ恥ずかしさと
やる気が強まってきくのを感じながら帰るのだった