NoName

Open App
10/12/2024, 1:07:44 PM

ー放課後ー

今となっては、あまりにも遠く、美しい日々だった。

喧嘩もよくしたし、仲違いした時もある。
それでも、お互いの存在が励ましだった。

二人の制服のボタンが、夕日に反射して光っている。
夕暮れの中に、私と君が消えてゆく。

そして、いつのまにか、
私と君は別々の道を歩んでいた。

ある時を境に、会うことができなくなってしまった。

けれども、
あの頃の私たちが今も笑っている。

今も、夕日を見つめ、君を想う。

10/11/2024, 10:43:13 AM

ーカーテンー

ああ、保健室の布団は柔らかい。
横隣のカーテンを開くと、もうひとつのベッドには寝息を立てて横たわる君。
まつ毛が、まるで羽のように瞼を撫でている。
廊下には、パタパタと走る音や、誰かの笑い声が響いている。

突然、長いまつ毛が揺れて、君との視線がぶつかり合う。
君はまた目を瞑り、こちらを向いたまま微笑んでいる。
愛おしさが込み上げて、不覚にも胸がきゅっとする。

カーテンの向こうには、忙しない世界が広がっているけれど、今だけは二人だけの小さな世界。

永遠にこの時間が続くことを願いながら、再び二人は眠りについた。

10/10/2024, 4:18:18 PM

【涙の理由】


私は、空を見上げて涙を溢した。
それは、あの日見た空と同じ、青空だったから。

ずっとずっと昔。
あの子が飛び立った日は、雲ひとつない晴天だった。
亡骸は温もりを失い、遥か遠くに飛び立ってしまった。
忘れることのない痛みが、また私の心を揺さぶる。

そして、今でもしきりに思う。

『また会って、抱きしめたい。』


あの日に似た風がまた、私を優しく撫でた。