如雨露

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8/15/2022, 10:58:54 AM

夜の海。

真っ暗。何処までも真っ暗で、何も見えない。

車のライトだけが明るく照らしているが、
エンジンを止めてしまえば、一瞬で暗くなる。

ドアを開いて外に出れば。
むわっと生ぬるい湿った空気に、海の匂い。
防波堤を踏む感触は、昼間の暑さを伝えてくる。

ざざぁっと打ち寄せる波の音。
引いて押してを繰り返す。
見えないけれど、確かに音で伝わるのだ。
目の前に、海がひろがっていること。

別に、夜の海に来たかったわけじゃない。
海を楽しむなら、青く、水平線が続く海を見たい。
そのほうが、色んな色を楽しめる。
遠く近くの海の色、打ち寄せる波と泡。
砂と岩に、コンクリート。沢山の生き物たち。

また、明るい時間に来てみようか。
昼間の日差しは、痛そうだけれど。

遠くの方。海岸沿いの空の上。
ピカッと、何か光って消えて、
どぉんと、遅れて音が響く。

あぁ、始まった。今日は、隣町の夏祭り。
ちょっと大きな花火があがる。有名では無いけれど。
海の近くであげるから、海に来たら見えるんだ。

波の音を聴きながら。
小さく見える、花火を見つめて。
いつもと違う、夏の夜。

8/14/2022, 12:49:34 PM

自転車に乗って。

小さい頃。
自転車に乗るのは、ステータスの1つだったと思う。

乗れるか、乗れないかで、友だちとの遊び方も変わった。
何せ行動範囲も変われば、移動にかかる時間も変わる。

遊ぶために全力をかけているのだから。
…子どもの世界も、なかなかシビアなのだ。

幼い頃は、ただ乗りたくて頑張った。
買ってもらった自転車が嬉しくて、ワクワクしながら跨った。
補助輪を、ガラガラ鳴らして走り出す。

ドキドキしながら、ひとり立ち。
ちょこっと大人になった気分。
転んだってへっちゃらで。
前に、先に進んでく。

お風呂につかった傷跡が。
痛くてすこし涙する。


頑張って乗れるようになったのに。
遊ぶためじゃなくなった。

跨ることも、なくなった。



久し振りに乗った自転車は、なんとも頼りなく走り出す。
サドルに乗ったお尻さえ、座り心地が落ち着かない。
体に力が入るから、ブレーキばっかり掛けちゃって。
自分で自分に、苦笑い。

あぁ、あんなにうまく乗れたのに。

知らぬ間に、忘れてしまった乗り方を。
どのくらいで思い出す?

… ケガしないように、気をつけよ。



8/13/2022, 11:23:35 AM

心のけんこう。


さて。
世間は、夏の真っ只中。夏休みもそろそろ後半に入る頃。
テレビをつければ、お盆だなんだ。
休みの人は遊びにでも行くんだろう、そんなニュースが流れている。
夏の風物詩のスポーツも、大いに盛り上がっているようだ。

そんななか、サービス業は休みはない。
むしろ、今だろ?
と言うばかりに、仕事が入る。

そう、今の世の中。お盆休みもないところもあるのさ。

たまには帰省して、お墓参りとか、お盆らしいことをしたいものだ。
そろそろ、ご先祖さまに怒られそうな気がする。

あぁ、夏休みが恋しい。
実際に長期休みを貰った所で、休み明けが恐ろしいことになるよなぁ、なんて。
それでも、あの子供の頃の、だらっと過ごした休みが羨ましいのだ。


寝て、起きて。仕事をして、ご飯を食べて、お風呂に入って、また、眠る。
出来上がったルーティンは、なかなか、どうして変えられない。

変えるつもりが、無いだけか?
気力が無いのか、何なのか。
やりたいなぁとか、行こうかなぁとか思うだけ。
体は全然動かない。
…年のせいにしてみたり。

多分、余裕がないから。
今が、精一杯だから。

だから、余った時間で自分を甘やかす。
ちょっとぐらい、許されるよね?
私のこころも、大切にする時間だから。

だから。

暑いあつい夏の夜。しゅわっとはじける炭酸が。
すごく、似合うと思うんだ。

8/12/2022, 10:53:14 AM

君の奏でる音楽


冷蔵庫を開ける。
さて、今日のご飯は何にしよう。

豆腐と、乾燥わかめが、どこかにあったはず。
実家から貰った手作り味噌も、いい感じに発酵が進んで、私好みだ。

消費期限が明日までの豚バラ肉で、生姜焼きでも作ろうか。
漬け込みはしないで、パパっと作るぐらいが簡単で美味しい。
付け合せは千切りキャベツ。
袋入りでとても便利なすぐれもの。

これで完璧だろう。
炊飯器から、しゅうっと音を立てて蒸気があがっている。

私のキッチンが、一番にぎやかになる時間。


朝ごはんは、時間があればなにか食べるが。
毎朝寝坊気味なため、そう回数は多くない。

昼ごはんは、外食かコンビニか。
即席ラーメンに、冷凍食品は強い味方だ。

だからこそ、晩ごはんはしっかりと。
一日頑張ったご褒美に。
でも、食べすぎには要注意。


窓際に置いた、iPadからお気に入りの動画を流しながら。
聴こえてくるのは、好きな声。
軽快なメロディーや、ちょっと寂しげな音楽も。


料理で動く手も、足も、すこしリズムにのりながら。

今日も美味しいご飯が、できそうだ。

8/11/2022, 11:22:48 AM

麦わら帽子?


公園の中。ブランコの近く。
フラッと立ち寄ったその場所に、ちょんっと落ちていた。
砂場と滑り台、鉄棒。いくつかのベンチと水飲み場。
なんてことない小さな公園。

少し茂った雑草と、色あせた遊具の色。
所々剥げたペンキ。
少しだけ手入れされた花壇には、花が咲いていた。

久し振りに訪れたそこは、昔見たときより狭くて、小さくて。

何をして、遊んでいたんだったか…。
遠い記憶すぎて、うまく思い出せない。

拾ってふれた麦わらの感触も、久し振りにさわるものだった。

チクチクと肌を刺すものだから、あまり好きではなかったけれど。
こんがりとしたような、藁の匂いは好きだった。


さて。落とし主は現れるのか…。


ブランコの上に置いてみる。
風で飛んでしまうかもしれないが。
持ち主を待つのに、地べたよりは良いだろう。


私が、昔使っていた麦わら帽子は。

まだ、何処かにあるだろうか?




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