お前のこと俺はいつもかわいいっつってんのに、お前は「やめてよ」ってすげー苦しい顔すんの。え、なに。俺が嘘ついてるって。んなわけねーだろ。まじムカつく。とか言ったら「嘘つき!」って叫ばれた。「嘘だ、私全然目大きくないし中顔面だし蒙古壁もあるのに!」よく分からん言葉の羅列。発する度にだんだん顔が曇ってく。「なぁ、」直感で不味い気がして抱き寄せた。そしたらさっきの勢いは落ち着いて、今度はおいおい泣く。肩に湿った感触がした。背中を一定のリズムで軽く叩く。「今日、メイク、上手くいか、なくて、本当は家出たくなかったけど、頑張って、でも、」「ん、」「今日デートだし、デートなのに、なんでこんな、」「おう」「ごめんなさい、ごめん、台無しに、しちゃって、」「んや、いいよ」「かわいくなりたい、やだ、私が1番やだ、なんでかわいくないの」お前はかわいいよ。かわいいんだよ。言ってるだろいつも。俺よりネットの記事の方が正しい?聞く価値ある?泣いてさ、その、頑張った?メイク崩れてんじゃん。俺お前のそういう努力家なとこ含めて好きだっつってんのに。「なぁ、俺お前のことかわいいって思ってるんだけど」言ったって「それ嘘でしょ、」って言われる。地味にキツい。マジで。お前かわいいんだよ。ほんと、かわいいんだって。本心だよ。あームカつく。なんで信じてくれねーかな。腹立つわ。
2024 2/12(月) 19『伝えたい』
私は、私の脳を鋭利に抽出する言葉を探している
臓腑を的確に抉り出すような、手術台上のメスのような言葉
スパッと頭を切り刻むような鋭い銀色が欲しい
それは大衆的であってはならぬ
それは曖昧蒙古であってはならぬ
こいつが切るのは生身の感情だ
だから血肉で錆びるなまくらでは駄目だ
脂で切れ味の鈍るなまくらでは駄目だ
欲するのは煉獄の炎で叩かれあげたような名刀だ
しかしそれは妖刀の域にある
ならば使い手にも相応の腕がいる
いくら掌中の銀色が豪物であろうと
使い手の私が味噌っかすでは話にならぬ
故に私は私の脳を抉り、言葉にする
脂肪の詰まった臓物で試し斬りをする
それしか道はないのだ
抽象的事物を活字に記すには
それしか道はないのだ
2024 2/12(日) 18『この場所で』
父が母に花束を渡した。
両手で抱えるくらい大きな花束だった。
あいにく母は花の扱い方が苦手だから、その花束は少しすると枯れて茶色の草木になってしまった。
「これでいいのよ」
母は言った。
「毎年毎年、あの人が贈ってくれるんだから。」
だから、増えすぎると困るでしょ?と言う。
毎年毎年贈られる花束は、大掃除の時に懐かしみながら袋に詰められる。
少し、慢心しすぎだと思う。
でも、それが愛なんだろうか。
だって、父は母の言う通り、毎年花束を抱えて帰宅するのだから。
私は言葉を呑み込んでポテチの袋を開けた。
クシャ、とあの枯れた花束と同じ音がした。
2024 2/10(土) 17『花束』
不肖ながら、この題を天使の羽に捧ぐ
2024 2/5(月) 16『Kiss』
機械の口約束、
旧モデルの解体、
来世紀後のバックアップ。
劣化する絵の具、
骨のない感情の死骸、
額縁の中の延長戦。
俺の好きな曲、2つ。
2024 2/3 (土) 15『1000年先も』