父が母に花束を渡した。
両手で抱えるくらい大きな花束だった。
あいにく母は花の扱い方が苦手だから、その花束は少しすると枯れて茶色の草木になってしまった。
「これでいいのよ」
母は言った。
「毎年毎年、あの人が贈ってくれるんだから。」
だから、増えすぎると困るでしょ?と言う。
毎年毎年贈られる花束は、大掃除の時に懐かしみながら袋に詰められる。
少し、慢心しすぎだと思う。
でも、それが愛なんだろうか。
だって、父は母の言う通り、毎年花束を抱えて帰宅するのだから。
私は言葉を呑み込んでポテチの袋を開けた。
クシャ、とあの枯れた花束と同じ音がした。
2024 2/10(土) 17『花束』
2/10/2024, 1:48:23 AM