私は、私の脳を鋭利に抽出する言葉を探している
臓腑を的確に抉り出すような、手術台上のメスのような言葉
スパッと頭を切り刻むような鋭い銀色が欲しい
それは大衆的であってはならぬ
それは曖昧蒙古であってはならぬ
こいつが切るのは生身の感情だ
だから血肉で錆びるなまくらでは駄目だ
脂で切れ味の鈍るなまくらでは駄目だ
欲するのは煉獄の炎で叩かれあげたような名刀だ
しかしそれは妖刀の域にある
ならば使い手にも相応の腕がいる
いくら掌中の銀色が豪物であろうと
使い手の私が味噌っかすでは話にならぬ
故に私は私の脳を抉り、言葉にする
脂肪の詰まった臓物で試し斬りをする
それしか道はないのだ
抽象的事物を活字に記すには
それしか道はないのだ
2024 2/12(日) 18『この場所で』
2/12/2024, 4:16:16 AM