雨谷リツキ

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4/6/2024, 4:20:42 AM

星空の下で、彼女に出会った。
彼女が緩やかに笑みを浮かべ、僕を見るから。
僕は、その微笑みに目を奪われてしまった。

星が全て霞んで見える中で、彼女だけが輝いている。
鼓動が速くなる。緊張で上手く声が出ない。
あの、と振り絞った声は彼女に届かず消えてしまった。

彼女がゆっくりと、僕に向かって手を伸ばす。
まるで僕を招くかのように。
誘い込まれた僕は、おぼつかない足取りで君に近づく。

そうして彼女に手が届きそうになった時、
彼女は輝きだけを残して消えてしまった。
小さな星の欠片だけが、足元に残っていた。

きっと彼女は、落ちた流れ星だったのだ。
だから、星の欠片を拾って、集めて。
あるいは同じ場所に行ったら。
再び彼女に会うことができるだろうか。

その輝きに彼女を重ねながら、
今日も星を探して歩き続ける。

4/4/2024, 3:03:42 AM

願うのならば、1つだけ。
どうかあなたの旅路が、良いものでありますように。

4/1/2024, 2:07:50 AM

ずっと一緒にいたいと、君が言う。
僕と共にいても、良いことなんてひとつもないのに。

君に茨の道を歩んでほしくないから、
君だけでも幸せになってほしいから。

一緒には行けないよと、君の手を振り払う。

君の隣にふさわしいのは僕じゃない。
だからどうか、そんな泣きそうな顔をしないで。

どうか、幸せに

3/23/2024, 5:15:01 AM

あんなに必死になってここまで来たのに、
こんなところで終わりが来るなんて。

努力が足りなかったのか、
そもそも努力が報われることなんてなかったのか。

私の旅路はここで終わる。
今までの全部、ぜんぶ無駄になってしまった。

バカみたい。
私が成したことなんて、何の意味もなかったのよ。

――本当に?
本当に、意味なんてなかったの?

ああ、そうだ。
あの人に出逢えたことだけは、
意味があったのかもしれない。

きっと私を、美しい幕引きで終わらせてくれるから。
最後に、あの人に会いに行こう。
――叶わぬ恋と、私自身を終わらせるために。

3/22/2024, 2:28:26 AM

遠い遠い土地で、君と僕の二人きり。
ここでは僕らのことを知っている人なんていないから、
二人ぼっちだね、と君は笑った。

寂しくないの、と聞いてみても、
あなたがいるから大丈夫だよ、と君は微笑む。

だけど僕は知っている。
君が、時々寂しそうな目をして遠くを見ていることを。
それを目にする度に、僕の心はチクリと痛む。

僕のわがままで君をこんなところに連れてきてしまったのに。
君は文句のひとつも言わずに、僕に笑いかけてくれている。

あなたが気にする必要はないの、
自分で決めてここに来たんだから。
だからほら、そんな泣きそうな顔をしないで。

投げかけられた優しい言葉と、君の温もりに身を委ねる。
ああ、君がこうやって甘やかすから。
僕の選択は間違っていなかったんだと、思ってしまう。

遠い遠い土地で、二人ぼっち。
故郷を捨て、二人だけで生きていく。

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