雨谷リツキ

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4/1/2024, 2:07:50 AM

ずっと一緒にいたいと、君が言う。
僕と共にいても、良いことなんてひとつもないのに。

君に茨の道を歩んでほしくないから、
君だけでも幸せになってほしいから。

一緒には行けないよと、君の手を振り払う。

君の隣にふさわしいのは僕じゃない。
だからどうか、そんな泣きそうな顔をしないで。

どうか、幸せに

3/23/2024, 5:15:01 AM

あんなに必死になってここまで来たのに、
こんなところで終わりが来るなんて。

努力が足りなかったのか、
そもそも努力が報われることなんてなかったのか。

私の旅路はここで終わる。
今までの全部、ぜんぶ無駄になってしまった。

バカみたい。
私が成したことなんて、何の意味もなかったのよ。

――本当に?
本当に、意味なんてなかったの?

ああ、そうだ。
あの人に出逢えたことだけは、
意味があったのかもしれない。

きっと私を、美しい幕引きで終わらせてくれるから。
最後に、あの人に会いに行こう。
――叶わぬ恋と、私自身を終わらせるために。

3/22/2024, 2:28:26 AM

遠い遠い土地で、君と僕の二人きり。
ここでは僕らのことを知っている人なんていないから、
二人ぼっちだね、と君は笑った。

寂しくないの、と聞いてみても、
あなたがいるから大丈夫だよ、と君は微笑む。

だけど僕は知っている。
君が、時々寂しそうな目をして遠くを見ていることを。
それを目にする度に、僕の心はチクリと痛む。

僕のわがままで君をこんなところに連れてきてしまったのに。
君は文句のひとつも言わずに、僕に笑いかけてくれている。

あなたが気にする必要はないの、
自分で決めてここに来たんだから。
だからほら、そんな泣きそうな顔をしないで。

投げかけられた優しい言葉と、君の温もりに身を委ねる。
ああ、君がこうやって甘やかすから。
僕の選択は間違っていなかったんだと、思ってしまう。

遠い遠い土地で、二人ぼっち。
故郷を捨て、二人だけで生きていく。

3/21/2024, 1:35:08 AM

あなたに会う夢を見た。

夢の中のあなたは、あの頃の姿のまま、
あの頃と変わらない笑みを浮かべていて。

それがとても嬉しくて、
どうしようもなく寂しくて。

夢だと気づいているけれど、
手が届かないとわかっているけれど、
手を伸ばすのを止められない。

なんて優しくて、残酷な夢。
せめて、夢が醒める前に、一言だけ。
また会いましょうと伝えたら。

またね、と懐かしい声が聞こえた気がした。

3/19/2024, 2:00:40 AM

奇跡によって世界は救われた。
だけど、奇跡を起こしたあの人は、
私たちの元には戻ってこなかった。

奇跡の代償だとか、
全てを懸けて世界を守ったのだとか、
もっともらしい理由を考えたけれど、
それでも納得することができず。

あの人のいない世界なんて、と
零れ出そうになった言葉を慌てて呑み込んだ。
それを言ってしまったら、奇跡を、あの人を否定することになってしまう。
それだけは嫌だった。

何事もなかったかのように続く世界を、
今日も私たちは生きていく。
だけど、あの人から未来を奪った不条理を、
忘れることはないだろう。

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