大切なもの
どうせ失うくらいなら、
大切なものなんてなければよかった
財産も、時間も、人々も
いずれはみんな消えてしまう
そこにただ1つ残るのは悲しみだけ
悲しさを感じてしまうのは
大切なものを作ってしまったから
この命も本当に大切なものなのだろうか
誰かに必要とされているわけでもなく、
ただ茫然と生きているこんな自分は
地球にとって大切なものなのだろうか
エイプリルフール
私は4月の愚か者
静寂に包まれた部屋で
1人で泣いた
もうあなたは戻らない
窓から見えた桜の木
桜の花びらはくすんで見えた
心情とは裏腹に
空は清々しいほど晴れているのに
全部、嘘だったら
どんなにいいだろう?
あなたも嘘だと言って、帰ってきてよ
そんな虚しい心の叫びは
民衆の声によって掻き消された
私はエイプリル・フール
幸せに
お兄ちゃんは私のことを嫌っていた
お菓子は全然分けてくれないし、
ギュッとしたらやめてって怒られるし…
それでも、私はお兄ちゃんが大好き
だって世界に1人の大切なお兄ちゃんだもん
でも、お母さんに「妹を大切にしなさい」って
言われた時のお兄ちゃんはとっても苦しそう
その度に
“おまえなんかいなかったらよかった!”
って言われる
私がいなかったら、お兄ちゃんは元気になれるのかな?
幸せに暮らせるのかな?
あ、そっか…私が、お兄ちゃんを苦しめてたんだ……
私なんて、どこか遠くに行っちゃえばいいんだ
ガチャッ
バタンッ
どこに行けばいいんだろう?
何をすればいいんだろう?
寂しいなぁ…
けど、お兄ちゃんが幸せになるなら…
「どうか、幸せに生きて…」
何気ないふり
何気ないふりしてるけど
ちゃんと分かってるよ
あなたが浮気をしていること
相手の女性はそれで騙せたかもしれないけど
妻の目は騙せないから
あなたが再々スマホを触るようになったこと
私が何してるのって聞いても曖昧にすること
私がいない間にこっそり出かけてること
全部知ってるから
浮気するくらいなら
好きにならなければよかった
愛を求めなきゃよかった
浮気してるでしょって問い詰めてやりたい
いっそうのこと離婚しようかしら?
でも、心の底で駄目だって声がする
明日こそは…
先に伸ばして、伸ばして……
こんなの自分が悲しいだけなのに
もう少しで結婚記念日だったのにな…
「なぁ、今度の日曜日空いてるか?」
え?それって…
「…結婚記念日?」
「うん」
「空いてるけど」
「ちょっと行きたいところがあるんだ」
「?」
その後、夫が妻にサプライズとして
ディナーとプレゼントを用意していてくれたことを知り
“浮気を疑ってしまった”
なんて決して言えない彼女であった
ハッピーエンド
物語の終わりはいつもハッピーエンド
だったら、人生の終わりもハッピーエンドなのかな?
いい行いをした人は天国に行けて
そこでいつまでも幸せに暮らせるって言われてるけど
そんなの誰にも分からない
誰が決めたの?
どうしてそんなことが言えるの?
死ぬことを恐れた人を慰めるために
そう言っただけだったら笑えるね
私は辛い
今すぐにでも死にたい
死にたいというよりもみんなの記憶から消えたい
初めから“私”なんてこの世にいなかったことにしたい
消えて、この辛い現実から抜け出せるなら
それでいいじゃない
それが私の“ハッピーエンド”なんだから