彼岸花

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3/16/2024, 1:07:57 PM

怖がり

僕はいつも逃げている

他の人には見えない“ナニカ”から

お父さんは「何も見えない」と言う

お母さんも「怖がらなくて大丈夫よ」と言う

確かに悪いおばけではなさそうだ

だけど、いつかの夜

布団に入って天井を眺めていると

突然、ナニカが僕の目の前にいたんだ

僕は襲われると思って目をギュッと瞑ったけど

何にもされなかった

そのかわりに声が聞こえたんだ

“おやすみ”って

何だか聞いたことのある声

昔、お星様になったおじいちゃんの声に似てた気がする

3/15/2024, 11:02:00 AM

星が溢れる

透明な袋に星を詰め、
赤いリボンで結んだ
カラフルなこの星々は
全部、私の想い

翌日、それを彼に渡した
彼はとても嬉しそうだった
でも本当は気づいてほしいな
私の想いに

公園のベンチに座って
一緒に食べた
星は口の中で優しく溶けていった

子供の頃から大好きだった星を
いつか大好きな人に贈りたいと思っていた
でも実際は星は手に入らない

だから星に似た金平糖を贈ったんだ

金平糖は長く楽しめるから
“末永く幸せに”
という意味があるらしい

また、赤色のリボンは
“情熱” “愛情”
などの意味もある

だからこれは、愛のメッセージなの

彼は鈍感だけど
私の想い、ちゃんと伝わってるといいな

3/13/2024, 12:07:46 PM

ずっと隣で

「ずっと隣で私を守ってね」
「当たり前だろう」

夕日に照らされた帰り道
2人で手を繋いで歩いた

一ヶ月後、あなたは消えてしまった

最後に言われた言葉、今でもはっきりと思い出せる

「約束、守れなくてごめん」

ずっと一緒にいられるなんてありえない
そう思っていたけれど、やっぱり辛い

あなたと撮った写真を何度も何度も眺めながら泣いた

あれから二年
今日は雲一つない晴天だ

まだ、あなたの姿が、声が、脳裏から離れない
空を眺めながら歩いていると近くでブレーキ音がした
キキーッ

私の目の前に黒い車が止まっていた
あと何センチかでぶつかっていただろう

車の運転手と謝り合いながら別れた
私の心臓はまだ激しく動いていた
死に直面しかけたのだから当たり前か

当たり前…
そういえば、あの人も同じことを言っていたな

もしかして、今事故に遭わなかったのは
あの人のおかげなのかもしれない

あの人が、私を守ってくれた

これから先もずっとあなたの姿は見えない
でも、本当は見守ってくれてるんだよね
天国で

あなたが亡くなる前に言った言葉は間違いだよ
約束なんて破ってない
今もこうやって、私を見守ってくれてるんだから


“ありがとう、おじいちゃん”

3/12/2024, 12:35:54 PM

もっと知りたい

子供の頃は、ただこの世界の美しさに惹かれた

花はどうして咲くの?
海はどうして青いの?

様々なことに対して探究心があった

大人になってから、この世界の汚さに気づいた

花壇があった場所にどうしてビルが建っているの?
海はどうしてこんなにゴミで溢れているの?
どうしてこんな風になってしまったの?

わからないわからないわからない

でもこれだけはわかる
今はもう何も疑問に思わなくなってしまった

ああ、この世界はこういうものなんだ
全部大人によって隠されてきたものだったんだ
仕方ない

あの頃の探究心は消えた
私の心も、世界の汚さに侵されてしまった

3/10/2024, 11:16:24 AM

愛と平和

今朝、妻と喧嘩した。
昔の優しさはどこに行ったの?
こう言われてしまった

私は私なりに優しさを示しているつもりなのだが…
もっと表面的に出したほうがいいのだろうか?
女心は難しいものである

川沿いの堤防をあてもなく歩いた
途中、年配のご夫婦とすれ違った

男性が川のほうを歩き、 
女性をエスコートしているようだった
優しく手も添えていた

家に帰って謝ろう

結局、妻が好きなケーキは買わなかった
やはり言葉で伝えなければ
そう思ったからだ

家に帰ると妻がテレビを見ていた
そこに割り込み、目を見つめながら謝った
許してもらえないかもしれないと覚悟していたが
こちらこそごめんねと逆に謝られた

夕方、妻がケーキが食べたくなったと言ったので
一緒に買いに行った
2人で出かけるなんていつぶりだろう?

気づけば、歩道の車道側を歩いていた

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