6/15/2023, 12:23:46 PM
「好きな本」
古い本が好きである。
古書でなくとも、売れ残りの本でも構わない。
淡い黄土色に変色した紙の匂い。
急いで読み始めた為に舞い上がる埃は夜灯にキラキラ光り舞う。
それを楽しみつつ物語へと没頭する。
古い物語はそれを知らない者に新しい世界を開いてくれる。
新しい本が好きである。
真っ白な紙に印刷されたインクの匂い。
ページを捲る度に、新雪の原に足跡をつけるような子供じみた喜びを覚える。
そんな幸せに浸りながらゆっくりと紐解く物語は今こうして在れる幸せをも運んでくれる。
好きなタイトルは幾つもあるけれど、やはり紙の本が良い。
読書は文字に限らず、指先で、香りでするものだと思っている。
あまりにもそれらが心地よいので、本を舐めたことさえあるのは内緒の話である。
6/15/2023, 3:00:03 AM
「あいまいな空」
窓に広がるあいまいな空
降る確率は半々
出かけるならば傘を持って行くべきだろう
案外、晴れるかもしれない
やはり降るかもしれない
わからないお天気
何にせよこれから出かけるので
邪魔ではあるが傘を持つつもりだ
本当は外出は気が進まない
そういう気持ちに今日はなれない
しかしやるべき事はあるわけで
何のために行くのだろう
やりたかったこと、他にある
出来る自信は少しもないけれど
思うままやってみたい
しかし行かなければ義務は果たせない
虚ろに微睡む己を叱咤し
あいまいな空に我儘も溶かし込んで
さあ、準備をしよう
今日はこの能面もよく似合うだろうから