覗き窓の向こう

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7/1/2023, 5:45:05 PM

窓越しに見えるのは

ずっと、ずっと真面目なことは良いことだと、教えられて来たのに。
真面目で、面白味のないと言われる。
1度言われたことは、2度とやらないでと言われたから、そうしてきたのに。
じゃあ、どうするか、他に手はないか考えたの?
と言われても、知らないよ、だってやっちゃ駄目って言われたんだから。

毎日、毎日、鬱屈した気分ばかりで、人生とは何なのか、生きる意味とは?
結局、真面目な良い子なんて失敗なのだ、我を通す悪い子が持て囃される、自分勝手に好きなことをして生きてられて、結構、結構。
大嫌いだよ、本当に。

電車の窓に反射した、自分を睨み付ける

羨んでばかりの卑屈なお前が、心底嫌いだ。



6/27/2023, 1:30:24 PM

お題:ここではないどこか

「ボク君から、絵葉書が届いてるわよ」
母さんが、手にした葉書を眺めながら、
あら、綺麗なところねぇと言っている。
それ、俺宛の手紙なんだけど?
「息子宛の手紙を勝手に読まないでくれる~!」
別に減るもんじゃないでしょ、と反省した様子もなく
手紙を渡される。
どこにいるかも分からない友人から送られた絵葉書には、海外の洒落たビーチ。
「元気か?」
とだけ、みじかく書かれている。
なるほど、何も減らねぇわ。
「もう少し、近況とか書けよな」
でもまあ、あいつらしいと言えば、あいつらしい。
発送元の住所は書かれておらず、返事を出してたくても出せない。
お前こそどうなんだよ。
ここではないどこかで、元気にやってんのか?
葉書を、コルクボードに貼りながら友人を思う。



6/26/2023, 2:42:40 PM

お題:君と最後に会った日

悲しい別れでは、無かった。
お互いに、進むべき道を見付け、
その道が、分かれていただけ。
「いつか、会えたら良いね」
叶えようとも思っていないくせに、君は言った。
「きっと会えるさ、なんて言わないよ」
僕は、笑って言った。
それでも、友達であり続ける約束は、
絶対に破らないからねとお互いに誓い合った。

今だって鮮明に思い出せる、
あの、寒すぎた冬の夜を。
自販機で買ったココアを飲みながら、
公園のブランコに座って、ダラダラと会話をし続けた、あの夜を。
「もう、ココアを飲むような歳でもないんだがね」
毎年、同じ日にココアを飲みながら、
"友達"を懐かしむ。