8/4/2025, 9:40:31 AM
「ぬるい炭酸と無口な君」
高校生の頃、教室の窓から、まだ建設途中のスカイツリーが見えた。
日に日に天へ伸びてゆくスカイツリーを、君はいつも眺めていた。頰杖をついて。
君は無口だった。嫌な奴ではなかったが、たまに話しても、ぬるくなってキレも失った炭酸水みたいに、言葉に歯切れがなかった。
君はいつも窓の外を眺めている。
大学生になっても。
こうして、僕と一緒になっても。
7/29/2025, 9:15:50 PM
「タイミング」
みんなが逃したタイミングだけを集めて、丼に乗せて食べたらどんな味がするだろう。
後悔の苦味と涙の塩っ気がいい感じに混ざり合って、サザエみたいな味でもするのだろうか。
僕はその食べ時さえ見誤ってしまうのだろうか。
7/26/2025, 4:09:39 PM
どこまでも青い空の下でさえ、窮屈に思えるほどの閉塞感。
飛行機雲が空の涙の跡に見える。
夏の日差しに照らされて、ベッタリと地面に横たわる黒い影。
私は光を求めるが、強い光は肌を焼き、私の中の影を浮かび上がらせるだけなのだ。
6/27/2025, 4:05:24 PM
「まだ見ぬ世界へ!」
さあ、まだ見ぬ世界へ!
未だかつてない絶望の中へ!
とめどない苦しみの中へ!
底しれぬどん底へ!
やむことを知らぬ雨の中へ!
本物の地獄へ!
さあ、まだ見ぬ世界へ!
5/18/2025, 1:03:41 PM
「まって」
絡まって、絡まって、絡まって
いつの日にか、ほどけなくなったロープみたいに
あなたとの関係の固結びになった部分が
いつの日にか、ほどけてなくなりますように