旅野桜

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「ぬるい炭酸と無口な君」

高校生の頃、教室の窓から、まだ建設途中のスカイツリーが見えた。
日に日に天へ伸びてゆくスカイツリーを、君はいつも眺めていた。頰杖をついて。
君は無口だった。嫌な奴ではなかったが、たまに話しても、ぬるくなってキレも失った炭酸水みたいに、言葉に歯切れがなかった。
君はいつも窓の外を眺めている。
大学生になっても。
こうして、僕と一緒になっても。

8/4/2025, 9:40:31 AM