南葉ろく

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10/16/2024, 7:13:45 AM

 あなたの瞳に見つめられると、どうしたって体が竦んでしまうのだ。ひたむきさが形を持って現れたようなあなたの瞳は、言葉よりも雄弁で。いつか、この身は焼け切れてしまうに違いない、だなんて。ロマンチックなのだか、バイオレンスなのだかわからない感情が体を支配するのだ。
 とてもおそろしくて、そして、それはきっと。
 幸せなことに、違いない、と。愚直なまでに、信じている。

テーマ「鋭い眼差し」

10/15/2024, 9:26:55 AM


 空を見上げる。どうしたって届かないもの。人には到達できないもの。……だったのは、昔の話。
 技術はどんどん発展して、空はもはや、路のひとつとなった。そうして、空だけでは飽き足らず、人類はすでに宇宙(ソラ)へだって、飛び立っている。
 人類はどこまで到達するだろうか。どこまでだって、チャンレンジするのだろう。そういう生き物だ。
 手の届かないものに、手を伸ばす。私たちはそういう風にできている。いつだって、求めている。どこまでも高く高く、遥か先の何かを、その手に掴むことを、渇望している。
 そういう、イキモノだ。



テーマ「高く高く」

10/14/2024, 4:11:58 AM

 子供にはもうなれない。
 もう、あの頃のようにはいられない。それでも。
 道端の石ころを宝物のように抱え込んだり、学校のプール下を秘密基地にして冒険してみたり。
 どれも大切な記憶。大切な思い出。
 あの頃のあたたかな思いを忘れぬように、せいいっぱい、笑ってみる。あの頃と同じ笑みではないかもしれないけれど。
 子供にはなれなくとも。
 こころはいつだって、あの日々を憶えている。


テーマ「子供のように」

10/13/2024, 7:15:17 AM

 退屈な先生のHRの話しが終わって、チャイムが鳴れば、放課後の始まりの合図。勝負しているわけでもなし、それでも競い合うかのように、ダッシュで玄関口へ。ランドセルを脇に投げ捨てて、一目散に、ジャングルジムへ向かう。
 到着が遅かった者が、鬼。いつからかできた、わたしたちのルール。終礼のチャイムと同時に始まるわたしたちの自由時間。一日はまだ終わらない。むしろ始まったばかりなのだ。
 燃え盛るようなエネルギーで生きている、命の塊。それが、わたしたち。

テーマ「放課後」

10/12/2024, 1:21:34 AM


 今日は天気がいい。窓から差し込む光は柔らかく、部屋の中をほんのりと暖めてくれている。うっすらと遠目に見える木々は緩やかに揺らめいていて、見ているだけで、葉と葉が擦れ合う音が聞こえてきそうだった。
 風に当たったら、気持ちが良さそう。天気もいい。風も緩やか。思い立ち、そっと窓に手をかけて、横に流すとカラカラ……と小気味の良い音が耳を擽る。そのあと、優しい風に煽られるようにふんわりと白のレースカーテンが顔を覆うように被さってきた。擽ったくて、自然と顔が笑みを象った。
 ああ、やっぱり思った通り、気持ちがいい。ふわふわ踊るレースカーテンと、ゆったりと揺れるカーテン。それに合わせるように波のように揺蕩う日光を視界に入れてから、そおっと瞼を下ろす。視界を隠してしまえば、頬を撫ぜる風がより身近に感じられた。
 今日もいい日だ。


テーマ「カーテン」

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