よい

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6/17/2024, 4:31:38 PM

俺、漫画になる。
そう言ったお前は、いつの間にか百万部を突破する大人気作品になったんだ。作家さんとも仲睦まじくおしどり夫婦なんて世間では言われちゃってさ。俺とタッグを組んでた小説時代が懐かしいよ。お前の原稿肌は漫画向きだったのかもしれないな。将来は電子化しちゃうんじゃないの?そうなりゃお前の生涯安定だな。
そういえば最近本屋で見かけないけどどうしたんだよ。奥さんとの関係も不穏になってるって週刊紙があることないこと言ってるぞ。え?離婚したのかよ!あなたの肌は滑りやすくて描き心地もいいけれど、なぜかストーリー構成がクドくなるから別れようだって?なんだそりゃ。もしや小説時代の長ったらしい文章構成がここにきて浮き彫りになり始めたのか。なに?俺たちやり直さないか?うーん、非常に魅力的なお誘いだが、悪い!!!
俺、週刊誌にならないかって誘われてるんだ。

.未来

6/15/2024, 5:37:11 PM

舌をな、噛みちぎるんだよ。
銀座にはタンが大好きな神様が出るらしい。君は前歯にも届かない舌を覗かせて笑った。今日も排水溝はヤニと吐瀉物の匂いがする。それと混ざって、この排水溝の真上にある店の、甘い香水の香りが腹をかき乱し、せっかく食べた久しぶりの肉が出そうになった。
噛みちぎった舌はどうするの?
どうするってそりゃあ、売るんだよ。
そう言って血まみれのジップロックを見せてきた。
ふーん。おいしいのかな?やっぱり。
知らね。神様の趣向なんか知りたかねえよ。
排水溝にネオンの光が差す。地上に出ると、僕たちは手を繋いだ。君の手は震えていて、それが寒いからなのか、薬のせいなのかは分からなかった。路地裏に入って吸い込まれるように奥へと進んでいく。ガラス張りに僕たちの姿が写った。君の手には一冊の本があって、本の角が赤黒く変色していた。もう一方の手でナイフを握り、僕も1本のナイフを握りしめて、お互い胸から滲み出る血を垂らしながら引き抜いた。
壁に背をもたれ、気怠い体に身を任せてへたりこむ。神様、出なかったね。僕がポツリと言うと君は辛そうな顔をした。
実を言うと、嘘なんだ。本当は香水がキツイ店にいるクソ野郎にやられたんだ。それでさ、つい目の前にあった本で、ね。
ざまぁみろと力無く笑う君が綺麗で、僕も笑い返したかったけど、もう口角を上げることさえ出来なくて、僕らはいたずらに夜の闇へと没した。

僕にとってその本は神様だよ。

.好きな本

3/15/2024, 9:58:40 PM

空が落ちてこればいいのに

.星が溢れる