不完全な僕にあの人は似合わない
あの人は何をしても完璧だと、そう思っていた
今日までは
今日僕が仕事から帰りドアノブをまわそうとした
あっ、きゃぁぁぁ!パリンガシャアン!!
あの人の悲鳴が家の中から聞ここえてきた
一体何があったんだと焦りながら家へ入るとそこには
割れた皿とあの人、僕の妻がいた
「う、うふふふ」
彼女は家事だろうがなんだろうがすべでを完璧にこな
していた
だからだろうか、皿を落としてしまった妻を見て凄く
安心した
嗚呼、どんな人間でも不完全じゃない人は居ないんだ
「やっほー、久しぶり」
「は?」
俺の家のインターホンが鳴り玄関のドアを開けると目の前には親友がいた
夕日が眩しかったから見間違いか?と何度も目を擦った
しかし彼は間違いなく目の前にいた
「ぶっ、はははは!これだよこれ!この反応が見たかったんだ」
目の前の奴は腹をかかえて爆笑している
10年振りの再会だというのに全く感動しなかった
むしろ勝手に引っ越した野郎がなんで今さら戻って来たんだという怒りが強かった
「用件はそれだけか?」
「そ、そんな怖い顔すんなよ〜用件はまだあるしぃ」
「さっさと言え」
俺はこいつを睨んだ
するとこいつの雰囲気が急に変わった
詳しく言うと、さっきまでのイライラするおちゃらけた感じがなくなり真剣な感じになった
「急に引っ越しちゃってごめん、久しぶりに会って話がしたかったんだ」
「……そうか、ならお前がなんで俺に何も言わずに引っ越したのか聞かせろ、ゆっくりでいいからな」
「え?何その笑顔怖...ってやめろ、やめてくれ!服を掴むな伸びる!!」
俺は必死に抵抗する親友を捕まえ家の中に引きずりこみ、ゆっくりと話を聞かせてもらうことにした
「ここが終点、人生の終わりだ」
目の前の彼はそう言う
私はいつの間にか教会のような美しいステンドグラスが張りめぐらされた廊下で小柄な男性と対峙していた
「んー、わかってなさそうだね君。ま、大体の人は君とおんなじ反応するし…」
「ここ、どこですか?」
「え?そこから?」
男はキョトンとした顔をした
どうやら知っていて当然らしい
「君どうやってここに来たか覚えてる?」
「いいえ、全く覚えてません」
「えっまじか...」
目の前にいる人?は気まずそうな顔をした
顔だけで会話出来ちゃいそう
「えっと、ここ死後の世界なんだ」
「あ、だから終点って言ったんですか」
「そう。そして人生の始まりでもある」
?どういうことだろう
「いわゆる転生ってやつだね。終わりがあるなら始まりだってあるだろ?」
「へーなんかすごいですね」
「でしょ、……そろそろ時間だ。第2の人生、たのしんでね」
その言葉と共に辺りが明るく輝きはじめた
もしもタイムマシンがあったなら
きっと私は見て見ぬふりをした孤独な少女を救うでし
ょう
たくさんの見殺しにしてしまった人々を救うでしょう
でも時間なんて戻らない
私の周りには家族も友人もいない
私はみんなを救えなかった
私はもしもタイムマシンがあったなら、と考えること
しか出来ない最低な人間なのです
今、車に轢かれそうになる少女も
痛めつけられている少年も
宝くじで1等が当たった彼も
努力が報われた彼女も
目標に向かって頑張っている彼らも
甘い蜜を吸う虫達も
綺麗な花弁をお披露目する花も
みんなみんな辛いことや悲しいこと、嬉しいことや楽
しいこと、これらも全て、神は知っている