「君と最後に会った日」
ああ 良いね
好きだった人と最初に会った日と
最後に会った日を思い出してみるの
間に 好きになった日も入れたいな
ホットケーキにちょんとのせるバターや
生クリームのように
自分の人生が
ちょっぴり華やかに彩られる気がするな
ついでに嫌いになった日も
食後のコーヒーのように
ほろ苦く思い浮かべよう
最後に会った日は それでも
まだ君の事が
ほんの少し好きだったんだよね
「繊細な花」
「繊細なんだね」
と言われると
ワタシ気になりますアピールして
面倒くさい奴って思われてるのかな
と思ってヘコむくらいには繊細です
いっそのこと
「気にしいなんだね」
と笑い飛ばして貰いたい
そしたら私も一緒に笑って
たくましい花になる
たくましい花は
適なるお水とお日様の光と
優しい眼差しをいただいて
繊細で美しい花になるのです
「日常」
この世にお茶がなければ
なんて味気ない生活だろう
どうということもない
ありふれた日常を愛しく思う
ただいま おかえりの挨拶でも良い
自分へのお疲れさまでも良い
何気ない言葉が生活を彩る
積み重ねのぬくもりよ
一服のお茶を楽しみに
今日を過ごす
お疲れさま
どうかありふれた日常が
明日も訪れますように
「好きな色」
会社は違うけど 同じ建物で仕事をしている人に
たまにトイレとかで会って
話をするようになった
きっかけは その人が亡くなった私の上司と
仲が良かったから
思い出語りをしている時は
彼女が近くに来て聞いているんだよと
その人は言ったのだ
だから時々 話しましょうねと
頷きあった
全然関係ない話だけの時もある
近所の歯医者さんの事とか
でも 二人で話しているだけで
脳裏にはチラッと
今も会いたくてたまらない人の顔が浮かぶ
私は今 自分を立て直しているのだ
彼女が好きだった色のボールペン
黒よりも濃い青の方が見やすいと
特注で私が注文していた
今でも皆 その色のボールペンを使っている
もしかしたら私が此処からいなくなっても
うちの部署だけは
代々その色を使い続けるかもしれない
そこに彼女は居るのだ
私が好きな色は空と海の青
それから桜色と日に透ける緑の葉
好きな色に助けられながら
今 自分を立て直している
「相合傘」
最近の折り畳み傘はペなっぺなで
一人分の頭しか隠してくれないけど
貴方が濡れるのが忍びなくて
超軽量晴雨兼用タイプを左手に持ち替えて
精一杯上に掲げた
貴方は貴方で
私が濡れるのが忍びないという風で
ここで良いよと 駅に向かって走って行った
もしも あの時の傘が大きかったら
駅まで相合傘で帰れたのかな
最近の折れない方の傘は 逆に大きくて
丈夫になった気がする
ただし重くて嵩張るから
結局 突然の雨降りには使えないの
残念でしたと右手に持ち替えて
ペなっぺなの傘で帰るのよ