川原

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6/18/2024, 3:54:24 PM

「落下」

後ろ背にお尻から落ちていく
底の見えない恐怖よ
手足は宙を舞い
夢中で掴んだそれは
昔遊んだブランコの鎖

遊んだ後は手に錆の匂いが付いた
鉄棒 ジャングルジム
滑り台の上から砂場にダイブ
ベンチではシール交換
チャームが揺れる香り付きのペン
ポケットにはおまけ付きのチョコ

誰かに名前を呼ばれた気がして
振り向いても誰もいない

手を離せばまた落ちていく
名前を呼んだのは私
手を離したのも私だった


6/12/2024, 2:29:03 PM

「好き嫌い」

好き
嫌い
と花びらを一枚むしる度に呟き
最後に残った花びらが好きか嫌いになるかで
惚れた相手が自分の事を
どう想っているのか占う
花占い
昭和の少女漫画ではよく見たシーンなのですが
最近は知らない人も多いでしょう

だいたい 花びらが奇数なら好きで終わり
偶数なら嫌いで終わるので
令和ではそんな残酷で無意味な事はしない

男は足し算
(好意が右肩上がりの加点方式)
女は引き算
(相手の嫌なところが目につく度に減点していく)
ともめっきり聞かなくなりました
昔 私の母が言っていました

別れる時には
女は上書き保存 
男は名前をつけて保存
これも主語がデカいかつジェンダー的に無理かつ
スマホ世代の方にはそもそも通じないかも

自分の事も相手の事も尊重しながら
好き嫌いを確かめていけたら良いね
令和の若者も 私達も



6/11/2024, 2:16:36 PM

「街」

しずかにしめった路地裏に
靴音だけが響いてくる
切り絵の街

迎えに来る
その足音だけを待っていた

久しぶりだね
君はずっと 変わらないんだね

あの日の約束は覚えていたから
旅支度は済んでいる

添えられた象牙色の手に
そっと手を合わせたら
待ち侘びた年月分の
時が戻った








6/10/2024, 11:24:03 AM

「やりたいこと」

会社の前の郵便ポストに
封筒を出しに行って
エレベーターから1階に降りた途端につまずいて
ビルの受付の人に 大丈夫かと声を掛けられた

疲れてるのかな 

「たまに息抜きしないと
貴方の会社のAさんなんて
いっつもここで誰か男の人と雑談してたよ」

「Aさん辞めたけどね
私もそろそろ辞めたいよ」

「駄目だよ続けなきゃ 今の世の中
何があるかわかんないよ 
物の値段もどんどん上がってて尋常じゃない
美味しいもの食べて 好きな事して
元気出すんだよ」

最近は推しのライブを観に行くのを
楽しみにしていると受付の人は言っていた
エレベーターの昇るボタンを押しながら
Aさんが話してた男の人は誰だったのか
考えていたら
むくむく元気が湧いて来た
腹黒で最低なワタクシであった








6/8/2024, 10:40:00 AM

「岐路」

後から振り返って 
あれが人生の岐路だったと思うならまだしも
今だね間違いなく 今立っているね

ああ立たされる 人生の岐路

この道しかないとは思わないようにしている
途中で気が変わって
引き返しても良いと思っている
道は一つじゃない

曲がり角でへたり込んで
空を眺めながら 
しばし休憩しても良いじゃないか
何なら遠くのあの鳥に
海の方角を尋ねても良い

目印はつけて置いた
じゃあね雲雀
また何処かでね

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