「世界の終わりに君と」
君と二人で居れるなら
世界が終わってもいい
さようなら世界
という人には ついぞ巡り会いもせず
こうしてひとり
遠くの爆音を聞いている
じわじわと近づいて来るその音は
簡単には終わらせない苦難の予感をも潜ませている
「最悪」
最悪の状態は過ぎたのか
まだわからない
カンストはもっと先かもしれない
英語の日本語訳みたいに
最も悪い事であるものの一つ
と思っておいた方が良いのかもしれない
昔 懸賞が流行って
今より当選品も当選数も豪華だった時に
家電とか旅行券とか大物を当てた時に限って
家族が怪我をしたり
不運に巻き込まれたりしたので
割と
運も等価交換だと思っていて
禍福は糾える縄の如し
人生万事塞翁が馬
最悪の後には最高が待っているかもしれないし
その最高も
最も良い事であるものの一つなのだから
まあぼちぼち
ゆるっと参りましょう
「狭い部屋」
心に浮かんだ言葉を
ぽつ ぽつ 書いていくうちに
無意識の思いが ひょいと顔を出す
歌を一曲 奏でるように
お茶を一服 飲み干すように
自分の世界が広がっていく
結びの言葉を探しあぐねて
えいやっと着地したら
そこはやっぱり 狭い部屋で
また別の白い壁に
『新しいお題があります』
とだけ 書かれていた
「失恋」
恋と言う程でもない
ほのかに芽生えた 感情の芽を
自分でさっさと摘んでしまうのな
私だって聖人君子じゃないくせに
相手のちょっとした打算や誤魔化しが
許せなくなるのな
多分この世界のどこかには
シンクロ率3桁超の誰かが生息している筈
おかしいなあ
未だ会えず仕舞いだ
出会う前から
恋を失っているようで
それともそんな相手は
何処にも居ないようで
いや もし居たらそっちはそっちで
楽しく暮らしていたら良いね
私も一人で
縁遠い事にすら安堵しながら
広い心を育てながら
会える奇跡を楽しみにしているよ
「正直」
〜Aさんに寄せて〜
正直な人
パッと心に浮かんだのは、
何でもかんでもベラベラと口に出してしまう
ペラ子やペラ男ではなくて
笑顔で黙って話を聞いてくれた人
たまに 昔の事を愚痴る事もあったし
意地悪な上司の愚痴に共感してくれる事もあったから
人類みな友人、みたいな博愛の人ではなかった
だけど いつも笑顔で相手の事を肯定してくれていた
その裏表のない笑顔が
正直さのイメージに繋がっていたのだと思う
にこにこと挨拶をして
冷たい手だねえ
私の手 あったかいでしょと
ぎゅっと握って温めてくれた
その人が
ある日突然 今日で辞めますと
会社を去ってしまった
前から決めていて 退職の準備もしていて
でも寂しい気持ちもあって内緒にしていたと
風のように
正直な人は 嘘をつかない人ではなくて
自分にも相手にも 誠実であろうとする人なのかな
いまだに私と残された同僚とで
狐に摘まれた気持ちでいる
寂しいね
今何してるかな
元気にしてると良いねと
半年経っても 話題に上る人