川原

Open App
6/22/2024, 11:09:36 AM

「日常」

この世にお茶がなければ
なんて味気ない生活だろう
どうということもない
ありふれた日常を愛しく思う

ただいま おかえりの挨拶でも良い
自分へのお疲れさまでも良い
何気ない言葉が生活を彩る
積み重ねのぬくもりよ

一服のお茶を楽しみに
今日を過ごす
お疲れさま
どうかありふれた日常が
明日も訪れますように

6/22/2024, 10:17:13 AM

「好きな色」

会社は違うけど 同じ建物で仕事をしている人に
たまにトイレとかで会って
話をするようになった
きっかけは その人が亡くなった私の上司と
仲が良かったから

思い出語りをしている時は
彼女が近くに来て聞いているんだよと
その人は言ったのだ
だから時々 話しましょうねと
頷きあった

全然関係ない話だけの時もある
近所の歯医者さんの事とか
でも 二人で話しているだけで
脳裏にはチラッと
今も会いたくてたまらない人の顔が浮かぶ

私は今 自分を立て直しているのだ

彼女が好きだった色のボールペン
黒よりも濃い青の方が見やすいと
特注で私が注文していた

今でも皆 その色のボールペンを使っている
もしかしたら私が此処からいなくなっても
うちの部署だけは
代々その色を使い続けるかもしれない
そこに彼女は居るのだ

私が好きな色は空と海の青
それから桜色と日に透ける緑の葉
好きな色に助けられながら
今 自分を立て直している


6/19/2024, 11:03:56 AM

「相合傘」

最近の折り畳み傘はペなっぺなで
一人分の頭しか隠してくれないけど
貴方が濡れるのが忍びなくて
超軽量晴雨兼用タイプを左手に持ち替えて
精一杯上に掲げた

貴方は貴方で 
私が濡れるのが忍びないという風で
ここで良いよと 駅に向かって走って行った

もしも あの時の傘が大きかったら
駅まで相合傘で帰れたのかな
最近の折れない方の傘は 逆に大きくて
丈夫になった気がする

ただし重くて嵩張るから
結局 突然の雨降りには使えないの

残念でしたと右手に持ち替えて
ペなっぺなの傘で帰るのよ






6/18/2024, 3:54:24 PM

「落下」

後ろ背にお尻から落ちていく
底の見えない恐怖よ
手足は宙を舞い
夢中で掴んだそれは
昔遊んだブランコの鎖

遊んだ後は手に錆の匂いが付いた
鉄棒 ジャングルジム
滑り台の上から砂場にダイブ
ベンチではシール交換
チャームが揺れる香り付きのペン
ポケットにはおまけ付きのチョコ

誰かに名前を呼ばれた気がして
振り向いても誰もいない

手を離せばまた落ちていく
名前を呼んだのは私
手を離したのも私だった


6/12/2024, 2:29:03 PM

「好き嫌い」

好き
嫌い
と花びらを一枚むしる度に呟き
最後に残った花びらが好きか嫌いになるかで
惚れた相手が自分の事を
どう想っているのか占う
花占い
昭和の少女漫画ではよく見たシーンなのですが
最近は知らない人も多いでしょう

だいたい 花びらが奇数なら好きで終わり
偶数なら嫌いで終わるので
令和ではそんな残酷で無意味な事はしない

男は足し算
(好意が右肩上がりの加点方式)
女は引き算
(相手の嫌なところが目につく度に減点していく)
ともめっきり聞かなくなりました
昔 私の母が言っていました

別れる時には
女は上書き保存 
男は名前をつけて保存
これも主語がデカいかつジェンダー的に無理かつ
スマホ世代の方にはそもそも通じないかも

自分の事も相手の事も尊重しながら
好き嫌いを確かめていけたら良いね
令和の若者も 私達も



Next