川原

Open App
6/11/2024, 2:16:36 PM

「街」

しずかにしめった路地裏に
靴音だけが響いてくる
切り絵の街

迎えに来る
その足音だけを待っていた

久しぶりだね
君はずっと 変わらないんだね

あの日の約束は覚えていたから
旅支度は済んでいる

添えられた象牙色の手に
そっと手を合わせたら
待ち侘びた年月分の
時が戻った








6/10/2024, 11:24:03 AM

「やりたいこと」

会社の前の郵便ポストに
封筒を出しに行って
エレベーターから1階に降りた途端につまずいて
ビルの受付の人に 大丈夫かと声を掛けられた

疲れてるのかな 

「たまに息抜きしないと
貴方の会社のAさんなんて
いっつもここで誰か男の人と雑談してたよ」

「Aさん辞めたけどね
私もそろそろ辞めたいよ」

「駄目だよ続けなきゃ 今の世の中
何があるかわかんないよ 
物の値段もどんどん上がってて尋常じゃない
美味しいもの食べて 好きな事して
元気出すんだよ」

最近は推しのライブを観に行くのを
楽しみにしていると受付の人は言っていた
エレベーターの昇るボタンを押しながら
Aさんが話してた男の人は誰だったのか
考えていたら
むくむく元気が湧いて来た
腹黒で最低なワタクシであった








6/8/2024, 10:40:00 AM

「岐路」

後から振り返って 
あれが人生の岐路だったと思うならまだしも
今だね間違いなく 今立っているね

ああ立たされる 人生の岐路

この道しかないとは思わないようにしている
途中で気が変わって
引き返しても良いと思っている
道は一つじゃない

曲がり角でへたり込んで
空を眺めながら 
しばし休憩しても良いじゃないか
何なら遠くのあの鳥に
海の方角を尋ねても良い

目印はつけて置いた
じゃあね雲雀
また何処かでね

6/7/2024, 2:19:55 PM

「世界の終わりに君と」

君と二人で居れるなら
世界が終わってもいい
さようなら世界


という人には ついぞ巡り会いもせず
こうしてひとり 
遠くの爆音を聞いている
じわじわと近づいて来るその音は
簡単には終わらせない苦難の予感をも潜ませている

6/6/2024, 4:18:22 PM

「最悪」

最悪の状態は過ぎたのか
まだわからない
カンストはもっと先かもしれない
英語の日本語訳みたいに
最も悪い事であるものの一つ
と思っておいた方が良いのかもしれない

昔 懸賞が流行って
今より当選品も当選数も豪華だった時に
家電とか旅行券とか大物を当てた時に限って
家族が怪我をしたり
不運に巻き込まれたりしたので

割と
運も等価交換だと思っていて

禍福は糾える縄の如し
人生万事塞翁が馬

最悪の後には最高が待っているかもしれないし
その最高も
最も良い事であるものの一つなのだから

まあぼちぼち
ゆるっと参りましょう


Next