「岐路」
後から振り返って
あれが人生の岐路だったと思うならまだしも
今だね間違いなく 今立っているね
ああ立たされる 人生の岐路
この道しかないとは思わないようにしている
途中で気が変わって
引き返しても良いと思っている
道は一つじゃない
曲がり角でへたり込んで
空を眺めながら
しばし休憩しても良いじゃないか
何なら遠くのあの鳥に
海の方角を尋ねても良い
目印はつけて置いた
じゃあね雲雀
また何処かでね
「世界の終わりに君と」
君と二人で居れるなら
世界が終わってもいい
さようなら世界
という人には ついぞ巡り会いもせず
こうしてひとり
遠くの爆音を聞いている
じわじわと近づいて来るその音は
簡単には終わらせない苦難の予感をも潜ませている
「最悪」
最悪の状態は過ぎたのか
まだわからない
カンストはもっと先かもしれない
英語の日本語訳みたいに
最も悪い事であるものの一つ
と思っておいた方が良いのかもしれない
昔 懸賞が流行って
今より当選品も当選数も豪華だった時に
家電とか旅行券とか大物を当てた時に限って
家族が怪我をしたり
不運に巻き込まれたりしたので
割と
運も等価交換だと思っていて
禍福は糾える縄の如し
人生万事塞翁が馬
最悪の後には最高が待っているかもしれないし
その最高も
最も良い事であるものの一つなのだから
まあぼちぼち
ゆるっと参りましょう
「狭い部屋」
心に浮かんだ言葉を
ぽつ ぽつ 書いていくうちに
無意識の思いが ひょいと顔を出す
歌を一曲 奏でるように
お茶を一服 飲み干すように
自分の世界が広がっていく
結びの言葉を探しあぐねて
えいやっと着地したら
そこはやっぱり 狭い部屋で
また別の白い壁に
『新しいお題があります』
とだけ 書かれていた
「失恋」
恋と言う程でもない
ほのかに芽生えた 感情の芽を
自分でさっさと摘んでしまうのな
私だって聖人君子じゃないくせに
相手のちょっとした打算や誤魔化しが
許せなくなるのな
多分この世界のどこかには
シンクロ率3桁超の誰かが生息している筈
おかしいなあ
未だ会えず仕舞いだ
出会う前から
恋を失っているようで
それともそんな相手は
何処にも居ないようで
いや もし居たらそっちはそっちで
楽しく暮らしていたら良いね
私も一人で
縁遠い事にすら安堵しながら
広い心を育てながら
会える奇跡を楽しみにしているよ