川原

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5/30/2024, 10:20:07 AM

「終わりなき旅」

時々 こんな旅はもう終わりにしたいと思って
背中の荷物を下ろしたくなるの

頭の中では何度も 何度も
床にリュックを叩きつけてる

泣いて泣いて泣きながら
飛び出た思い出を拾っては
またリュックに戻して
じっとうずくまる

もういいよ
誰だよシャツの裾を引っ張っているのは

いつかの小さい指で
あたたかい手のひらで
くすぐらないでおくれよ

また立ち上がって
歩きたくなってしまうじゃないか

5/28/2024, 11:09:00 AM

「半袖」

日焼け止めを塗っていたのにな
昨日はすっかり 初夏の日差しだった
普段はほとんど屋内だから
ちょっと日焼けするくらいで丁度良いんだけどね

さあ ストローハットの
準備は宜しいか お嬢さん達

半袖からのぞく腕を並べて
こんがり具合を確かめたら
あの日失くした夏を取り戻しに行こう










5/26/2024, 11:10:01 AM

「月に願いを」

ついつい 
月に長居をしてしまった
そろそろ帰還せねば
レバーを戻して 背筋を伸ばす

窓の外には本物の新月
真実の私は 何を願おう
哀しみばかりのこの地上で
生身の頼りなさで


5/25/2024, 11:11:54 AM

「降り止まない雨」

巨大な石仏が横たわる小道を
傘をさして降りる
もとはテーマパークのアトラクションだったらしい

故郷の町は
いつも陽が降り注いでいたが
此処に来てからは傘をさしてばかりだ

あの人に 昔聞いたのだ
雨ばかり降っている町に住んでいたと
此処は晴れの日ばかりで良いなと
言っていたのに

尤も 何か約束を交わしていた訳でもない
勝手に私が行方を探しているだけ

子供の頃に隠れ家にしていたと
誰も知らない抜け道があると
たまに話していた 
巨大な石仏の
右の手のひらの辺り 

有刺鉄線を乗り越えて傘を閉じる
扉の開け方も 丁寧に教えてくれていた
まるで私が追いかけて来るのが
わかっていたかのように

今度は私が 手を貸す番だ




5/24/2024, 2:16:59 PM

「あの頃の私へ」

タイムマシンで過去に行けるなら
逃げるなら 今だ
あの頃の私に
そう声をかけたくなるけれど

仮に1つ災いを回避しても
別の更なる不幸に見舞われてたかもしれない
今ある不運は 案外
本来はもっと大きなものだったのに
何かの偶然で回避出来ているのかもしれない

ひとつ歯車が狂えば
あの人にも出会えていなかった
過去の私よ よく頑張ったな
現在の私は誇らしいぞ
胸をはって行け 未来の私達





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