川原

Open App
4/18/2024, 10:40:26 AM

「無色の世界」

大切な人が 桜と共に 逝ってしまった
どうか色とりどりの 花に囲まれて
安らかな場所でお眠りください

携帯の機種を変えたので
LINEの履歴は引き継ぎ出来るけど
メールは新しいスマホには残っていない事に思い至り

充電すら怠っていた
古い機種の立ち上げ直しから始める
残っていた
履歴のやり取りに また涙が溢れてくる
オレンジ色のアイコン
もう 返事は来ない

4/17/2024, 11:44:35 AM

「桜散る」

桜はいいな
咲いて美しく
散ってなお 皆に惜しまれる
桜茶に桜餅
みんなの大好きが詰まってるし
死体までも埋められちゃってる疑惑まである
なんてミステリアス

本当は 騒がしいのが苦手なので
酔っ払いどもが来ない
山奥のどこかで
ひっそりと咲きたかったのよ
公園に咲く貴方は言った

皆があまりにわたくしの事を崇め奉るから
長年 力を貰い過ぎて
本気を出せば嵐も起こせるの 実はわたくし

だから今年は ほんの少し 早く散った
うっすらと声に笑みを滲ませて
満足げに緑の葉をさらけ出す

なんてミステリアス

4/16/2024, 1:41:36 PM

「夢見る心」

昔 母が 子供だったわたしに
「きちんと寝床を整えて寝ると
お姫様の夢が見れるんだよ」と
布団の敷き方を教えてくれた
風呂場で足の踵の洗い方を教えるような口調で

現実的で実用的な事しか言わない母にしては
珍しい ファンタジー設定だった

口調が棒読みで
本当にそんな夢が見れるとは思っていないのが
バレバレだったけど
私も お姫様の夢は
特に見たいとも思わなかったけど

ただ たまにうなされて いつだったか
怪獣が夢に出て来たと泣いた事は覚えている

「かいじゅうがわたしのドーナツ
たべちゃったんだよ」
トイレで暫く泣いていたらしい

寝ぼけて泣く子を布団に戻し
シーツの皺を伸ばして
掛け布団を掛けて
お妃様は 姫君よりも先に眠りについたのです

その晩 夢を見たのかどうかは 覚えていない

4/15/2024, 10:10:25 AM

「届かぬ想い」

届かなくていい
そう思いながら

本当は気付いて欲しい
私の言葉を 聞いて欲しい

笑いかけて欲しい
頷いて欲しい

首を傾けて 
また明日ねと 手を振って欲しい

フォトフレームの内側から
今日も 届かぬ思いは
空を漂う

4/14/2024, 11:02:52 AM

「神様へ」

私にとっての神様は どの神様だろう
八百万の神か オンリーワンか
トイレにも神様はおられるらしいし

それとも 天に旅立った 思い出の中の人たちか

神様 もしも 私の声が聞こえたなら
私に自由を
私だけの人生をください
誰にも縛られず 
心から笑える日々を取り戻す勇気と力をください

私の中にも多分 神はいる
ひっそりと 祈る 
声よ届けと
鐘よ鳴り響けと



Next