はこ

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2/18/2026, 4:08:10 PM

「私、今日のこと忘れないよ」

夜が更けた住宅街に私の声がぽつりと置かれる。あなたはそれに「大袈裟すぎる」と呆れた顔。
それでも聞くことをやめようとはしないで、私の言葉を待ってくれる。あなたの歩く速度はさっきよりもゆるやかになった。

「この先きっと、ひどいことがたくさん待ってる。その度苦しくなって泣いて、立ち止まってしまうと思う」

私の言葉に、あなたは顔を歪ませる。
あなたのそういうところが好き。私の言葉ひとつひとつを丁寧に聞いてくれる。考えてくれる。想ってくれる。それが愛おしく、たまらない。

一呼吸置いて、空を見上げる。遠くに見える星は、一番二番と増えていって数えきれない。あの空が、今はそう遠くないような不思議な気持ち。

「でもね、私は今日をお守りにして生きていくよ。私には、こんなに素敵な思い出がある。また歩き出せる。だから、大丈夫だよ。」

あなたが頷いてくれるから、私の言葉は意味をもつ。大丈夫が本物になる。私にとって、あなたは神様のようなものだった。

足を止める。もうさよならしなければならない。
お別れはいつだって悲しい。今日が終わってしまうことが、今日はもう二度と訪れないことが、ひどく寂しい。

するりと掴まれた手がそのまま繋がれる。あなたの目が、さっきの私と同じだった。

「また明日」

そう笑ったあなたを見て、私は柔らかな気持ちで今日にさよならを告げられる。


『今日にさよなら』

2/13/2026, 5:29:06 PM

開いてくれてありがとう。この手紙を覚えていますか?
これを何歳の私が、どんな心境で読んでいるかは分からないけど、今より少しはちゃんとしてるとといいな。

今の私は泥みたいな気持ちの中にいます。ぬかるみに足を取られてばかりで嫌になる。できないことばかりが目について、それをどうやったらできるようになるかも分からなくて、ずっとうっすら安定してない毎日。なんとかしないと、頑張らないとって余計に自分の首を締める。今の私には、未来はきっと素敵なものになってる、そんなあやふやな希望だけが救い。

夢は叶った?
一生仲良く闘えるライバルはできた?
メイクは上手になった?もう可愛くなれないって泣くことはない?
お金を気にしないで、食べたいものを注文できてる?
なにか好きなものはできた?大切にできてる?

今は全部が不安。未来の私に、早く迎えにきてほしい。今の私には何もできない。過去の私の方がまだマシだったかも。
でも、中学や高校の頃から成長したなって思うのは、傷の感じ方。前だったらこのレベルの病みで絶望してた。今は病みながらもこの先どうするかを考えてる。かなりマイナス寄りだけど。泥の良いところは時間が経つと乾いて、そこに立ってられるようになるところだね。また水が入るんだろうけど、そしたらまた乾かすよ。未来の私は絶対崩れない城の上にいてほしいな。いや、逆に海とか水系で、流れに身を任せてっていうのも素敵。

ねえ。私、きっと素敵な大人になるよ。
大切なもの全部持ったまま夢を叶えて、私の好きな私になって、今と変わらない笑顔で世界を見るの。

手紙書いてたら元気でてきた。さっき書いた、迎えにきてほしいなんて、お姫様みたいな受け身メンタルも終わってる。この手紙だって強気なまま締める。毎日の小さな私が最強の未来の私に伝えたいこと。

すぐにでもその景色を私のものにしてやるから。
待ってて。


『待ってて』