『手紙を開くと』
「これラブレターじゃん!え、え!どうすんの?」
「うっさい」
「ねぇー何てへんじすんのー?」
お前じゃないなら返事なんてしねーよ。ばーか。
『すれ違う瞳』
先輩と目が合ったからって嬉しそうな顔しちゃって。
こっちも見ろよ。ばーか。
「羅針盤」
あぁ狂った針
あっちを見ても分からない
こっちを見ても分からない
何が正解?
何が間違い?
教えてくれるんじゃなかったの?
神様に貰った羅針盤
『1件のLINE』
〘おはよー〙
急に送られてきた君からのLINE。
まさか君からだと思わなくて秒で付けてしまった既読。
でも、なんて返せばいいのか分からなくて無言のまま。
だけど君からの追撃はなくて
とりあえずの【おはようございます】
【おはようございます】
5分後に返ってきた君からのLINE。
まさか返信があると思わなくて既読にしてしまった。
ただ認識してほしくて送っただけの挨拶。
何か話したかったわけじゃなかったから無言のまま。
何故か敬語なのが面白くて、〘なんで敬語?笑〙
〘なんで敬語?笑〙
10分後に返ってきた君からのLINE。
なんだが弁明しないといけない気がして既読をつけた。
話したことない君にいきなりタメ口はと思ったから。
そう言えばよかったんだけど。
それだとすぐに会話が終わる気がして、【なんとなくです】
【なんとなくです】
すぐに返ってきた君からのLINE。
なんとなくにです、が付いてるのが面白くて既読をつけた。
でもなんて返信すればいいのか分からなくて。
今思えば変なこと言わなくてよかったなって思うけど。
他の人にやるノリで、〘ふーん?〙
〘ふーん?〙
ちょっとしてから返ってきた君からのLINE。
続くと思わなくて反射的に既読をつけた。
対人能力が皆無な自分にはなんて返せばいいのか分からなくて。
今思えば変なこと言わなくてよかったなって思うんだけど。
朝の電車の時間も迫ってたから咄嗟に【じゃあ電車なので】
【じゃあ電車なので】
割とすぐに返ってきた君からのLINE。
返ってきたそのLINEを見て、既読をつけた。
自分も電車の時間だということに気づいた。
朝の準備のほんの少しの時間の会話がなんだか面白くて。
咄嗟に返した〘また学校で!〙
「え…」
『おはよー笑』
「…おはようございます笑」
『勿忘草』
「久しぶり!」
そう言って部屋に入ってきた彼女。
青い小さな花のアクセサリー彼女の耳を彩っていた。
夏だというのに黒いワンピースを身に纏っていた。
私があのときあげた花。
大好きな、大好きな花。
花言葉を込めて贈った。
私はいつまでも覚えていてほしかったから。
どんなときもずっと愛していることを。
誰よりも強く愛していることを。
私は届かないのが分かっていたけど、
耐えきれずに呟いた。
『勿忘草が欲しい』
届いたのだろうか。
彼女は驚いた顔をしながらよく2人で遊んでいた公園に行った。
10分位で戻ってきた彼女は
黒いワンピースに葉っぱを付けて
少し目を腫らして
泣いたあとによく見た満面の笑みで
「勿忘草!」
そう言って私の前に置いてくれた。
堪えきれず泣き出してしまった。
君に触れようとして触れられなかった。
8月の中旬の物語。