茶々

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9/2/2023, 12:13:13 PM

『心の灯火』

突然、胸がすっとしてなにかが消えた。

悲しみが泣いている
一つずつしずくがこぼれる
少しずつ溜まっていく
いつか溢れて何かが消えるとわかるのに
涙は消えない、止まらない
ある日起きたら

突然、胸がすっとして何かが消えた。
悲しみの涙が見えなくなって
暗闇に水の滴る音だけが響く

悲しみが泣いている

9/1/2023, 12:20:20 PM

『開けないLINE』

公式ラインしか入れてないLINE。
ラインの通知が鳴った。
一番くじの通知か?そう思って確認した。
知らない名前。
知らないアイコン。

どう見ても公式ラインじゃない。
不思議より、困惑より、恐怖が勝った。

知らないようで知っている、あの子のライン。

クラスのあの子。
高校で一緒になった女の子。
特に話したことも無ければ、
関わりがあるわけではない。

8/31/2023, 1:16:19 PM

『不完全な僕』

「おや、カナタ、どうしたんだい?」
「博士…捨てられた猫がいて…僕、可哀想で…」
「…そうか、カナタは優しいね。」
「博士…僕には何もできなかった…」

そう言って、僕は泣いた。
博士は何も言わず、隣にいてくれた。


「……えぇ。はい。……!…それは、、、いえ。えぇ、はい。わかっています。………はい。…え、、?…はい、失礼します。」

分かっている。
私は彼を、
“…カナタを破壊しなければならない。”

「…博士?最近考え込んでいますよね、大丈夫ですか?」
「、、大丈夫だよ、ありがとうね。」
「そうですか!よかった!」

彼は、優しい子だ。
だからこそ、こんな形で産まれるべきではなかった。

…軍の兵器になるために。
     彼の感情を消さなければならないのに。
         私にはそんなこと、できなかった。
私が不甲斐ないばかりに。
    私の思考が不出来なばかりに。
        私の設計が不完全なばかりに。
私は、この手で、君を…

消さなければならない。

「博士…?」
「あ、あぁ…すまないね。……カナタ?」
「…………」
「何をしているんだ!!!!今すぐやめなさい!」
「ううん。止めない、博士。」

そう言っている俺の手には、
“人ならば” 死ぬものが握られていた。

8/30/2023, 12:48:45 PM

『香水』

君の横を通り過ぎたとき
いつもと別の甘い香りがした。
あぁ、また別の女に変えたんだ。

早く僕に帰ってくればいいのに。


君の横を通り過ぎたとき
いつもはしない爽やかな香りがした。
あぁ、やっと女を見つけたんだ。

早く俺から離れてくれればいいのに。

8/29/2023, 1:16:00 PM

『言葉はいらない、ただ・・・』

いろんな人と挨拶を交わして席にカバンを置く。
机の横に掛けるだけだからそのままにして、
汗拭きシートを取り出しつつ、話す。
和「りのんちゃん、ゆめっちおはよ~」
璃音「なごちゃんおはよ」
夢「汗だくじゃん笑」
和「自転車だったからさー」

朝の挨拶をしたら、いつも通り時間割の話と、
各々喋りたいことを話す。

夢「今日のポケモンスリープ全部イモムシ…」
和「また?笑笑」
璃音「そーゆー時もあるさ〜」

和「あ、璃音ちゃん、今日朝学は?」
璃音「多分英語〜」
夢「\(^o^)/」

璃音「今日、コレ持ってきた。食べる〜?」
和「後でもらうわ!」
夢「眠くなったらもらう〜」

そんなこんなしているとチャイムが鳴る。
休み時間も雑談して、お昼も一緒に食べて、放課後になる。

夢・璃音「また明日〜、ばいばーい!部活がんば!」
和「うん、がんばる〜。気をつけてね〜」

そう言って、2人は帰っていく。
4階の奥の階段のすぐ横の教室。そこが部活の活動場所。
和「お疲れ様でーす」
弥璃「おつかれちゃちゃ〜、今日部活休みだって。」
和「あ、そうなんですか?分かりました〜」
弥璃「べにと、きいと、しゃけと、ひでさんはもう帰った」
和「こだちゃん先輩も帰りますか?」
弥璃「そだねー、帰るかな」
和「分かりました、お気をつけてぇー」

そんなこんなで、先輩も帰った。
この部屋は演劇部員しか使えない。
部活がなくても、勉強には使える。

和磨「お疲れー、今日部活休みだってね」
和「らしーよ」
和磨「ちゃちゃは勉強してから帰るの?」
和「テスト近いからね〜」
和磨「じゃあ俺も勉強しようかね」
和「いーんでない?」
7時間目も終わったばかりでまだざわざわしている廊下。
クーラーも止められてじわじわと暑くなる教室。
和磨と私は教室の窓とドアを全開にして、
窓側の机に座って勉強道具を広げた。
そのまま、廊下のざわめきを置いて、それぞれの課題に取り組む。

だんだんと日が落ちて、廊下の喧騒は止む。
今日は木曜日だから、4階に残っている人は居ない。
ただ、私と和磨を除いて。

私達は言葉を交わさず、只々勉強を続けた。
私は、左手を置くはずのところに文鎮を置いて、
右手でシャーペンを持つ。

和磨は、右手を置くはずのところに文鎮を置いて、
左手でシャーペンを持つ。

空いた2つの手を、人目を避けるように机の下におろして。
太陽が沈んで、
月が顔を見せ、
自転車を漕ぎやすい時間になるまで。

左手と右手は繋がれたまま。


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