いす

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9/23/2023, 10:51:08 AM

夜。あなたは彼と連れ立ってこの夜を歩く。手を引いて歩き、手を引かれて歩いている。あなたか彼が公園へ行こうと言う。あなたか彼がブランコに乗ろうと言う。あなたか彼がジャングルジムに登ろうと言う。あの日あなた方は分かたれてしまって、真ん中は消え去ってしまって、愛だけがその役割を引き受けている。懐かしさや思い出と呼ばれるものたちのいくらかは、冷たく硬い手触りと錆びた鉄の匂いをしている。

9/22/2023, 11:06:30 AM

呻きが唸りが喘ぎが南島の海辺のさざめきに掻き消えていく。果たしてお前がここに在ったのなら。お前がいまもここに在ったのなら、このかなしみ、この海辺のごとき吹き荒れるかなしみのもとでお前をことごとく消してしまうかもしれないので、どうやらひとりで来たのは正解である。それでも私の耳には届いている。私はそのことをよくよく思い出せる。お前のただ優しくてただしいばかりの笑い声は、とうに私を消してしまった。完膚なきまでにいなくなった私を、いつかの再会の折にはどうかもう一度笑ってほしい。

9/21/2023, 11:10:55 AM

十度目の秋だ。君に触れて触れられてきた。足りないと思うことも満ちていると思うこともできないままに。

9/20/2023, 10:48:57 AM

ないものはない、ではなく、あるものはある、ということ。我々は孤独である、の先の、我々は他者である、ということ。

9/19/2023, 1:28:08 PM

そうです。ハイ、ええ、そう。今です。ここです。今ここです。あなたは彼らを憎んでいて、もう随分長いこと憎んでいて、疲れていて、悲しむことにも飽いている。解消されないままです。愛も同様に。慈しみもおそらく。複雑ないのちは複雑なまま。あなたは過去形で話すこともままならず、未来を語るにも機能させることができるのはその意志だけです。明日の天気は晴れでしょうか。気になりますか。仕方がありませんね。ええ、そう。そうです。今です。ここで、今ここで、あなたと。

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