呻きが唸りが喘ぎが南島の海辺のさざめきに掻き消えていく。果たしてお前がここに在ったのなら。お前がいまもここに在ったのなら、このかなしみ、この海辺のごとき吹き荒れるかなしみのもとでお前をことごとく消してしまうかもしれないので、どうやらひとりで来たのは正解である。それでも私の耳には届いている。私はそのことをよくよく思い出せる。お前のただ優しくてただしいばかりの笑い声は、とうに私を消してしまった。完膚なきまでにいなくなった私を、いつかの再会の折にはどうかもう一度笑ってほしい。
9/22/2023, 11:06:30 AM