「君に会いたくて」
僕は 早起きした
僕は お小遣い貯めた
僕は 胸がシクシクジンジン
僕は 涙はらはらポロポロ
僕は 下手なギターで作曲した
僕は 髪型を変えてみた
僕は 渡すあてのない手紙を書いた
僕は 空を飛んでみた
なのにある日突然、君は黙ってどこかに消えてしまった。
なぜなんだ?ホワイ?
黄色や橙色に染まった枯葉が風に震え、木枯らしに舞うころ、僕はその人と出会った。その人のことは木枯らしが運んできたんだと思うことにした。
その人は人を愛することに疲れ、傷つき、人を信じることをも恐れていた。かと言って死ぬこともできない。そんな人だった。
僕はせめてその人の心の傷を癒してあげたいと、誠意と優しさを持って、時折衝突しながらも、わかり合いながら共に過ごした。僕はこんな日々がずっと続けば良いと思っていた。
なのにある日、
「あなたの真心にはとても打たれたけど、私はあなたとは一緒になれない」そう言ってその人は僕の元を去って行った。
「人生はハッピーエンドばかりじゃない」
そんなことはわかっていたつもりだったけど、僕の心の隙間には木枯らしが吹いたみたいだった。
まつ毛いっぱいに涙を溜めた卒業式の女学生。
最後の大会で負けたときに流した涙、叩き合う肩。
届かなかった初恋。
ただ一度だけのものは限りなく美しいと思う。
この世界は「生きにくい」と思う時がある。
この世界は「信用できない」と思う時がある。
正直者が馬鹿をみて、嘘つきが潤う。
正義の味方がいつも勝つわけではない。
この世界はそんなもんなんだと思いながら、僕はどんどん鈍くなる。
それでも、今日を生きていくのが困難な人を救うために動く人たちがいること知る時、まんざら悪くないかなと思ったりもする。
この世界は。
どうしてこうなったのか?
どうして僕は今、こんなことをしているのか?
どうして僕はあの時、あの場所であんな風に過ごしてしまったのだろうか?
2度と戻らない美しい時間だったのに。
どうして僕はあの時、あの人にあんなことを言ってしまったのだろうか?
時々ぼんやりと考えることがある。
夜の空を見上げ、なつかしい人、なつかしい場所を思い出してみる
ふと生きることが下手な人と話したい、つながりたいと思ったりする。