月と六文銭

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黄色や橙色に染まった枯葉が風に震え、木枯らしに舞うころ、僕はその人と出会った。その人のことは木枯らしが運んできたんだと思うことにした。
その人は人を愛することに疲れ、傷つき、人を信じることをも恐れていた。かと言って死ぬこともできない。そんな人だった。
僕はせめてその人の心の傷を癒してあげたいと、誠意と優しさを持って、時折衝突しながらも、わかり合いながら共に過ごした。僕はこんな日々がずっと続けば良いと思っていた。
なのにある日、
「あなたの真心にはとても打たれたけど、私はあなたとは一緒になれない」そう言ってその人は僕の元を去って行った。

「人生はハッピーエンドばかりじゃない」
そんなことはわかっていたつもりだったけど、僕の心の隙間には木枯らしが吹いたみたいだった。

1/18/2024, 3:50:37 PM