NoName

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5/15/2025, 3:19:18 PM

私は暗闇の中で生きている。
じめついた路地裏の片隅で、
丸まりながら、
息を潜めて。
遠くに見えるネオンの光。
光の中に見える数多の人影。
唇を噛み締めて、
私はその光に指を立てる。
今に見てろ。
今に見てろ。
ネオンなんか霞むくらいに
光輝く瞬間を、待っていろ。

ぎちりと奥歯を噛み締めた。

5/14/2025, 1:50:42 PM

酸素は生きるのに必要だというのに。
過剰に吸えば毒となって身体を駄目にする。
この世の全て、みんなそうだ。
バランス良く。
過不足なくと。

なら愛も、過剰に得たら駄目になるのだろうか。
愛に飢えている私にとって、
過剰の愛はどのくらいなのだろう。

2/9/2024, 3:48:47 AM

まだ書いていない

お題・スマイル
(入れたいキーワード・花、女の子、家族)

2/7/2024, 3:39:02 PM

いつだったか、私は私と契約をした。
消えたい消えたいと泣く私と
消えたくない生きたいと怒る私で。

誰かを◯◯したら消えてもいいと。
意図して◯◯したら消えなさいと。

それ以外で、決して消えることを選ぶなと。
生きる選択をしなさいと。

誰にも言えない私の秘密。
どこにも書けない
私の心の奥底に貼り付けた
大事な契約。

馬鹿みたいと思う人もいるでしょう。
しょうもないと思う人もいるでしょう。

けれど、どう思われようと
私にとってこの契約は
自分を繋ぎ止める大事な鎖なのです。



この契約が、実行されることがありませんように。

2/6/2024, 4:51:32 PM

「お久しぶりですね」
その声に振り向けば老婆が一人立っていた。
顔も手も皺くちゃで、だけど背筋はしゃんとしていて、どこかに懐かしい面影のある老婆だった。
「はて、どこかで会いましたかね?」
首を傾げれば、老婆は小さな目をほんの少し伏せるが、すぐに前を向いてにこりと愛想良く笑った。
「あら、私の勘違いだったかしら」
ごめんなさいね、と笑う老婆に私はいえいえそんな、と両手を前で振る。もしかしたらどこかで彼女と会ったことがあるのかもしれない。最近、私はどうも忘れっぽいからその可能性が高いから。
それを伝えれば、老婆はあら、そうなんですか、と言葉に心配を滲ませながら返してくれた。
「失礼ですが、私は貴方と会ったことがありますか?」
「ええ、ありますよ。何度も隣を通っているのよ貴方。でも貴方はとっても足が速いから、声をかける前にいなくなっちゃって」
「あはは、申し訳ない」
居心地が悪くなり、気を逸らすために頭を掻く。老婆はそんな私を気にすることなく話を続けた。
「挨拶したり、一言二言会話したこともあるけれど、貴方はすぐいなくなっちゃいましたからね。私も忘れるのも無理ないわ」
「それでも、忘れてしまったのは申し訳ない」
「あら、じゃあひとつだけお詫びをしてくださる?」
悪戯っ子のように老婆は笑って提案してきた。
「どういったことでしょう?私にできるなら」
「そうね」
老婆が近づく。ゆっくり。ゆっくり。
私は動かずじっと老婆を待った。
そして、老婆は私の目の前まで来て言ってきた。
「私を抱きしめてくださる?きっと最期だから」
最期の言葉が少しだけ引っ掛かるが、老婆の言葉に私は頷いて目の前の彼女を抱きしめた。
ほんの少しふくよかで随分と背の低い老婆は、抱きしめるととても柔らかくて温かい。
ああ、なぜだろう。
眠くなってきた。
うつらうつらする私を老婆がぎゅっと抱きしめ返す。
「お疲れ様です、あなた。一緒に休みましょう」
老婆の優しい言葉に応えて、私はゆっくり目を閉じた。

最後に、どこかで古惚けた大きな音が聞こえた気がした。
ボーン。ボーン。ボーン。ボーン。。。

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