手紙の行方
過去の私が今の私に書いた文があった
それは自分を卑下し助けを求めて
生きる意味を問いただす文だった
過去の私はこう訴える
「もう幸せにはなれない」「生きる意味なんてあるの?」
「15歳……此処を節目にして行こう」
生きる意味……答えを知りたい?
なんで私は15になって死ななかったと思う?
答えはあなたの言葉の間に
ひとつずつあるよ
もう……ってことは今少し幸せを掴めたんでしょ
生きる意味を探すのは生きる理由が欲しかったんでしょ
節目なんて後回しにしているだけだったんでしょ
答えの行方は
あなたの掴んだ幸せの中にあったよ
眩く光っていたあの頃に手を伸ばす
今だって成長しているし良さはある
だが輝きに手を伸ばさずにはいられない
もう届かないってわかってるのに
未来の記憶はどんな色になると思う?
記憶はその出来事を鮮明に覚えるのではなく
印象的なものを大雑把に覚えるだろう?
人生は明るいこともくらいこともある。
だから未来の私が記憶として残しているものが
明るい色で溢れていることを願うよ。
予想としては、灰色の入った黄色かな
よく言えば淡いけど、淡い人生ってどうなんだろうね?
君は何色の未来の記憶が残っていると思う?
澄んだ空気を吸って、今までの鬱憤を吐き出すように
息吐いた。新鮮な夜の空気が巡って胸が高鳴る。
ただリフレッシュをしようと思って外へきたが。
なんだか高鳴った鼓動が抑えきれなくて。
白くてキラキラの地面を踏んで、
何も無い白いキャンバスに足跡を飾る
ポツンと残る跡がとても子供心をくすぐって
ちっちゃなハートを描いてみた。
不器用なりに足踏みをして描いた模様は
傑作とは言えない出来だったが、
蛍光灯の光に応えてキラキラ光る雪が
ガタガタ線もいい味だと思わさせてくれる。
誇らしげにハートを見つめていると、
人が出てきた音がした。
白いキャンバスを汚したくなくて、
足跡をもう一度踏んで千鳥足で逃げた
物陰に隠れながらみられてたらどうしよう……と
空を見上げ星と目を合わせる。
星々が私の様子を伺ってるように見えて
「バレてませんよーに……」
と小声で星々に今の願いを伝えた。
後日談
次の日家の近いクラスメイトと2人になると、「さ、最近大丈夫……?」と聞かれました。終わりましたね。しかも形がハートっていう……しかもしかも実は3つも作ってました。新手のSOSかなって感じで相手に申し訳ないし、お恥ずかしい……
私が弱く、空に手を伸ばして助けを求めるだけの存在だった頃は、私を助けるためにたたかう姿がかっこよく見えた。君の背中は大きくて偉大だった。
でもそれは、自分のためだったんだね。
守ろうとは微塵も思っていなかった。
自分の自尊心のためにたたかっていたんだ。
今あなたの背中は、汚れていて大きいけど不安定 に見える
自分を守るために色んな事に掴みかかって吠えてただけ
偶然が重なって守られてただけだった。