君が紡ぐ歌
本を眺めていても
外を歩いても
朝の文字盤を眺めていても
君との思い出が脳裏に浮かぶ
目に入った小説の15ページ
ヒロインが放つ何気ない一言
よく話を交えながら
ふざけて歩いた道筋
なかなか起きなくて
文字盤の代わりに声をかける声
全てに君がいて…
その度に君がよく歌っていた歌が
流れるんだ
静寂の中で
ボッーとしてみて
これが
今の情報過多社会を生きる若者に
どれだけ難しい課題なのか我々はあまり知らない
意外と難しいだろう?
5分も経たぬうちに
だいたいの人は頭の中に煩悩が浮かび上がる
曲や自分の好きなことや嫌だったことなど
その浮かんだものは
無意識のうちに色んなタスクで隠れていた
本心だ
心の声だ
静寂の中でこそ本心が浮かび上がる
世界が終わるなら徐々に終わるが迫るんじゃなくて
一瞬で痛み無く終わって欲しい。
センチメンタルジャーニー
隣接した市が都市化し
自然と我が故郷も都市化していった
高校生になった私は
自宅と学校をただ往復する日々だ
だがふと用事がでできて馴染み深い道を歩くと
苔や汚れが積み重なった思い出の遊具は
全て新しいピカピカの遊具に変わり
水溜まりで笑いあった道は水が入る隙もなく
綺麗にピシッとしている
諸行無常の理からして
ここで切なさを感じるのは無粋だと思うが
それでも感じてしまう
ガキながら歳をとったなと思った
波にさらわれた手紙は
二度と帰ってこない。
淡く母なる海に全てを消され
綴った思いすらも他者の餌になるんだ。
そこにさらわれたものは何も返ってこない
住宅も、見慣れた路地も、看板も、
この頭に刻まれた思い出の公園も、
全てを無に帰す
家族さえも
まるで何も無かったかのように。
私の全てを奪った海に
今日は身を任せてもいいかもしれない
私の憎しみも思い出も心も
聖なる場所を置いて生き残ってしまった体も
全部…さらってくれよ…頼むから
なんでこんな時だけ…穏やかなんだよ…