志千羽

Open App
7/3/2023, 10:21:03 AM

この道のさきに続く赤い線はなんだろう。
夜の散歩が趣味の私はそれを見た時、そう思った。
月夜ではあるが夜が満ち満ちていて少し先すら見えない。そんな中、街灯の下でテラテラと輝く赤い線。
子供の落書きで使われるようなクレヨンやチョークとは別の色だ。私は恐る恐る赤い線に触れてみる。ねちゃりと音を立てて線は太く地面にへばりつく。
私は知っているこの感触を。昔、母の部屋に勝手に入って触ったあれだ。
口紅
嫌な予感と考えが全身を包み込む。先の見えない道に続く赤い線を背に私は帰路に着いた。

7/2/2023, 10:46:02 AM

夕刻の西日は灰色の街をセピア色に染め上げる

朧気で

脳の何処かの淵にあるような

思い出すら

染め上げられてしまいそうで

いやになる

7/2/2023, 4:09:56 AM

窓越しに見えるのは、世間でよく云われるような円盤型のUFOだ。ふわりふわりと宙に浮いている。常々思うことだがあれはどうやって浮いているのだろう。 SFならば反重力装置が着いているで片付けられるが現実問題そんなに簡単では無い。
折角なら聞いてみることにしよう。
私はそっと窓を開ける。ひんやりとした真空が流れ込んでくるのを感じた。
全身がうねうねと動く何かに掴まれるようなこの感覚はいつになってもなれないものだ。
宇宙服をきた私は彼らに声をかける。
「Hello?」
あぁ、そうだ。ここでは英語は通じないのか。