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1/8/2023, 5:24:27 PM


きみは雪に似ている。銀色の髪も、儚くうるむ瞳の反射も、透き通る、よく通る声も。

きみは雪に似ている。銀箔の髪も、淡いのにつよく光る瞳も、鋭い寒さのように空気を切り開く声も。

きらきらと輝きながら舞台上を舞う君のことを、美しいと思う。

1/7/2023, 8:03:48 AM

君と一緒に
「ディズニー行かないスか?」
せっかくのオフだというのに、わざわざ人の多いところに出ないかという。最近練習もハードだし、それに加えて自主練だってしているのだから、たまのオフくらい体を休めて欲しいんだけど。
「普段の練習に比べたらディズニーなんてなーんの疲れもないっスよ!ほらコレ、仕事でもらったんス。行かなきゃ勿体無いっしょ、ね?」
梓結っちと行きたいんスよ〜、なんて言われたら、すぱりとノーなんて言えるわけなくて。

1/6/2023, 5:15:02 AM

冬晴れ
「さむーい」
「先に行くなよ」
ダウンジャケットを着た竜胆、ノーカラーコートの蘭、凝ったデザインのロングコートを着たりな。外の空気は澄んで空の青も淡く、薄氷が張ったような済んだ冬だった。太陽の光は夏よりもずっと優しく、かすかに見つめるだけならば許されるくらいの柔らかさをしている。穏やかなその空気に似合わず気温は低く、りなはしっかりと眉をひそめた。その美しい昼下がりには似合わない。
「え? さむい、いつも家にいるから冬を舐めていました」
「帰る?」
「帰らない」
「オレのマフラー使う?」
「外したら死ぬよ?」
「死なねーよ」
 竜胆が雑に外したマフラーをぐるぐると巻かれて、きゃあと子供のように声をあげる。「竜胆の体温残ってるあったかい」「……そーかよ」嬉しそうにマフラーに顔を埋めるりなを照れくさそうに見つめる竜胆、そしてそのふたりをなごやかに眺める蘭。冬の日照は短いが、その空間はどこか永遠を感じさせた。


1/4/2023, 11:09:27 PM

幸せとは
ひとを殺めたあとシャワーを浴びていると、帰るところがると感じること。
冷たくなった人間を足蹴にしたあと、人肌をてのひらに感じること。
顔を首筋に埋めてふわりと香る柔らかな肌の匂いを感じること。

1/3/2023, 12:49:01 PM

日の出
「楽と日の出を一緒に見られるなんてね」
年末年始にオフなんてないふたりにとって、今日という年越しの日はあまりにも特別だった。2人ともに休みが取れて、天気は良く、急に入る仕事もない(ここについては、お互い周囲にかなり強く念押ししたというところもあるが。)。こんな日は、向こう何年と来ることはないように思われた。
「きれい。写真に撮るのが勿体無い」
「? どういうことだ?」
「目を離すのが勿体無いってこと」
「……そうだな」
電子の連絡もない。写真も撮らない。肩を寄せ合って体温を分け合い、互いの顔を照らす橙に釘付けになるこの瞬間を、幸福と呼ばずしてなんと呼ぼうか。

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