花はいつか枯れるもの

私を置いて消えてしまう

そして貴方も

いつか、いなくなってしまうのでしょう

そう言って寂しそうに微笑む貴女が

酷く哀しく見えたから

私は貴女に花束を贈った

造花を、永遠の花束を

例えニセモノだとしても

この花が枯れない限り

貴女を愛していますと言って

失望も責めることもしない

私に軽蔑の目を向けることもない

貴方って人はお人好しね

裏切ったのは私の方なのに

悪意を持って貴方を陥れたのに

どうして私に微笑みかけるの

どうして謝って涙を流すの

貴方が愚かなことはわかってたけど

裏切った相手にまでやさしくしないで

それとも優しさではないの

自分の心を無視するように

悲しみも苦しさも厭わないなんて

またあした、と手を振って

見え透いたやさしい嘘をついた

別れを選んだ私たちには

訪れる明日がないと知っていながら

世界を救った英雄よ

その魂が朽ちてなお

人々を守り続けた貴方

この世にもう闇はない

もう自らを削るのはやめて

眠りなさい、瞳をとじて

暗く深い神秘的な黒に魅せられて

底の見えない宇宙に足を踏み入れた

静かで広大な闇の中は

無数の星が瞬いて、とても綺麗だったけど

いつしか私は、自分を失ってしまった

どっちに進めばいいかもわからなくて

その時、小さな光を持つ貴方が

迷う私を導いてくれた

貴方は私の羅針盤のような存在だった

最後まで貴方に届くことはなかったけれど

貴方はずっと、私を照らす太陽だった