意味なんてない。
そう、意味なんてないんだ。
嫌なことでもいい顔して受け入れて、あんたの興味のない恋愛話を聞いて、ただ、うんうんと、頷いている。
これになんの意味があるかなんてわからない。
でもこれがないと自分の存在意義が分からない。
求められてるから、答えてる。ずっとそうだ。
小さい頃から、自分の感情押し殺してやってきた。
でも、もうわからない。
自分の人生なのに、相手の機嫌とりで終わっちゃう。
私が居なくなったところで世界は変わる?
誰かが困る?
いいや、変わらない。
そもそも、この広大な地球という星に住んでいる私たちに、意味のあることなんて最初から何一つとしてなかった。
わたしもあなたも、あいつらも。
ぜんぶどうでもいいこと。
いきていても、しんでも、せかいはなにもかわらない。
だから、私はまた仮面をかぶってあんたの前に立つんだ。
意味なんてないのだから、あんたのその悩みも結局どうでもいいんだよね。
「意味がないこと」
ずっと一緒にいて。
あわよくば、その命がこと尽きるまで。
あなたが辛いときは私が全部変わってあげるから。
あなたと変わって、痛いのも苦しいのも、なんでも受け止めるから。
私はあなたの分身。 もう一人のあなた。
あなたの心を支えるために生まれた。
あなたを傷つけるやつから守ってあげる。
だからほら、泣かないで?
あなたに涙なんて似合わない。
その悲しみも苦しみも、あなたには必要ない。
嫌なことは、全部私に頂戴。
「あなたとわたし」
人は儚いものを好む。
だからだろうか。
あなたの笑顔に
どうしようもなく惹かれてしまうのは。
その瞳の奥には哀愁を誘う、
そんなような美しさがある。
私の心を掴んで離さない。
ふと、懐かしく思うことがある。
それは何かを見たからとかではなく、突然訪れる。
どこか温かくて、包みこんでくれるような優しさ。
もう過去には戻れないと知っているからこそ、ある感情。
ああ、もう一度戻りたい。あの頃に。
目にうつる全てが特別だった幸せな思いで。
もう手に入れることすら叶わない私の宝物。
もう一つの物語。
この言葉を聞いた時君はこう思うだろう。
あの時、もし違う選択をしていたのなら違う世界が合ったかもしれない。
それはあたかも自分が生きる、今の世界が正しい選択だったかのように語られる。
でも違う。
もう一つの物語とは、今君が生きているこの世界線なんだよ。
あったかもしれない、可能性の世界こそが正しい
物語なんだ。
君らが生きるこの世界はいつだって物語の主軸としては描かれない。
影に埋もれて存在すら認識されない。
だって我々こそがもう一つの物語なのだから。