「仲間になれなくて」(全て一行詩)
共通の話題があっても仲間になれないのは不一致のなにか
「雨と君」
霧雨の中で君は棒飴を頬張りながら蛇の目を広げる
「誰もいない教室」
誰もいない教室に顔の無い女が座り一人将棋を
「信号」(一行詩)
人生の分岐点に信号があれば全うな人生が送れただろうか?
「言い出せなかった「」」(一行詩)
送り出した手紙が本当は代筆者が書いていたと亡くなる直前まで言い出せなかった
「secrt Love 」
あの人が来る前に指輪を外して小箱に仕舞い、
別な箱からはあの人が吸う煙草やコップを取り出し
引戸の隠し扉からあの人が嗜む酒を取り出す
旦那が居ない間だけの秘密の時間
「ページをめくる」(詩)
黒革の本を見付けたのはいいが、
ページを捲ろうにも湿気でページ同士が付いてしまい
何が書かれているのかは判らず仕舞いになった
どうにかこうにかしてページ同士を剥がして
いよいよページを丁寧に剥がしてページを読むが……
「なんだ…?この絵は…?」
摩訶不思議な絵が無造作に列をなした絵もあれば
所々が上下に書かれている絵もある
「…この黒革の本は…この絵…?は一体…?」
ページを捲った者が考え出すと同時に
黒革の本、剥がされたページから二本の腕が生え伸び
ページを捲った者を本の中へ引き摺り込んだ
ページを捲った者を引き摺り込んだページは
また互いのページとまた次のページも互いにくっついて
元の姿に戻ったのでした
「夏の忘れ物を探しに」(詩)
君と夏の石を探しに行ったのは8月31日だったね
夏の石は割るととても碧い色をしていたね。
「8月31日、午後5時」(語り?)
現在の時刻は8月31日、午後5時を過ぎました。ここで一曲
井上陽水で「少年時代」
「ふたり」(一行詩)
いつも二人で並んでたのに何故一人だけ連れて行ったの?
あの子は私とワタシなの。返して。