「好きだよ」
反物に髑髏の刺繍を施している君の姿を見てたら
次は般若の刺繍を施し始めた
自分の好きなモノを主張出来る君が好きだよと密かに思う
◆
「新しい地図」
「みてみてー。このへんのちず、かいてみたー」
娘が誇らしげに見せてきた落書き帳には「あたらしいちず」と
タイトルの下に道路と線路らしき棒が書かれ、
建物や犬を表す絵が書かれていた。
その一角に丸い記号が重なっている絵に
「…このたぁちゃんとかわちゃんて…?」
「あそびにいくこうえんのとちゅうにあるの」
公園の途中にそういう場所あったかなと?思い出してる最中に
「いしっころがたくさんあってつみきのようにいしが高くあるところ」
それって…僕は嫁の顔を見て
「大丈夫。悪いことしないように伝えてあるよ」と合図
娘の書いた「あたらしいちず」と書かれた新しい地図には、
僕達が見えていない場所が書かれていた。
「フラワー」
ワイヤーで花弁の形を形成していく
君の好きな色のマニキュアで色を付けていく
ほら、二度枯れることのない花の完成だ
永久冷凍保存された君の体に咲いた赤い花弁と一緒
「桜」
桜が満開頃に逢いに行くよと一枚の葉書が最後の通知になり
お猪口に花弁浮かび亡き友への盃
三味線鳴らし夜桜舞うは友を呼ぶ
「君と」
桜が舞う中で亡き友の君と盃を交わす
「空に向かって」
空に向かって蛇の目を広げる君は雨を呼んだ
「はじめまして」
「初めまして。ワタクシ、〇〇界から参りました…」
「始めました。異世界での○○○しての(以下略)」
「始めました。冷やし中華に冷やしラーメン」
「始め!まして、次ぎましては…」
「初めてのSNSは合いませんでした」
「初めての手紙は110円世代です」
「始めました。時報と天気予報の電話サービス」(終わりましたが)
「初めて掛けた電話はスマホ。固定電話と公衆電話てなに?」(実話)
(入ってきた新人さんが固定電話と公衆電話の存在を知らない人でした)