「あなたへの贈り物」
会社の帰り道に
あなたへ
お疲れ様の労いに
無糖珈琲を渡す
「…ありがと」
ぎごちないありがとは
私への贈り物でもあったりする
「明日に向かって歩く、でも」
手には合否通知
テストは散々だった
一年流してまた一年頑張ろうと思う気持ちも財力もない
「ピコピコピコリン~♪」
ジャケットのポケットからスマホを取り出す
彼女からのメール
画面をタップする
「合否どうだった?まぁアンタの気持ちがあるだろうから、
合否結果は急がないよ。今日さ、運転良く檸檬タルトと檸檬パイ買えたから、
早く帰っておいで」
メールに檸檬タルトと檸檬パイの写真が添付されていた。
画面を閉じる際に誤ってスクロールしてしまった。
かなり画面が進んだ先には
「男だから稼がなきゃいけないとか家庭を守らなきゃいけないとかは
置いといてさ、今は今の時間を楽しもうよ?アンタはアンタは他所と比べていたら身も心も壊れちゃうからさ。」
僕の足は彼女が待つ家路と向かう
明日に向かって気を切り替えて歩く、でも、まだ払拭がしきれていない
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「羅針盤」
針がぐるぐる
一時停止したと思えば
またぐるぐる
人生の方針はまだまだ不安定
いつになれば方向は決まるのだろうか?
「手のひらの宇宙」
小さな球体に青と水と赤と橙と銀と金のビーズを閉じ込めて
自分だけの手のひらの宇宙を作ったけどやっぱり本物には敵わないね。
ねぇ?そっちはどんな惑星になりますか?
「ただひとりの君へ」
広大な空間に漂う君はまだ誰にも見付からなくてヒトリだけど
いつかは誰かが見付けて名前を付けてくれるから
あとほんの光年待っててよ
「風のいたずら」
ヒラヒラ
ヒラヒラ
ヒラヒラ
上空から何かが降ってきた
「ソレは」何処ともなく降ってきた
幾重にも
ヒラヒラ
ヒラヒラ
ヒラヒラ
屋根に階段に屋上に木に鳥ノ巣に舞い落ちていく
ー欲しかったら、掴んでみな?ー
嘲笑うかのように「ソレ」は風に乗せられて四方八方に飛んでいく
傲慢なヒトたちは「ソレ」を掴もうと躍起になり
或る者は屋根に上がろうとして墜ちて
或る者は押し倒されて大事なモノを潰されて
或る者は雑多に潰されて
「ソレ」は風の悪戯小僧の手により
惜しくも地上には一枚足りとも落ちることはありませんでした
「あなたのもとへ」
雪が降る中で午前0時0分発の北斗星であなたのもとへ行きます
「透明な涙」
アナタの流した透明な涙は結晶となり
その結晶は町に流れ町は壊滅しました
…アナタは海の底に眠っていた生け贄の一人だったのね…