「そっと」
ある昼下がりのオフィス内、
馳部さんがなにやら小難しい表情を浮かべていた
後ろからそっと覗き込んでみると…
「どれとどれが一番効くか…この組み合わせが一番最強なんだろうが、
こっちの組み合わせもステガタイな…」
馳部さんの机の上には複数のエナジードリンクに香辛料に…
まぁまぁ組み合わせても大丈夫な飲料水や調味料や調剤の瓶から
絶対的に組み合わせちゃいけない飲料水や調味料の他に薬品っぽい瓶が並んでいた
僕は馳部さんに見付からないように
そっと馳部さんから離れ、昼ご飯を買いにオフィス内を出たのだった
「まだ見ぬ景色」
まだ見ぬ景色は一体何の意味を持つのだろうか?
この世にまだ見ぬ景色は数多にある
それが何処に存在し
どのような景色なのか
生きているうちにまだ見ぬ景色を探しに行こう
生きているうちにまだ見ぬ景色を知ろう
まだ見ぬ景色は
己の生きる先へ何をもたらすのか
「あたたかいね」
あたたかいね。窓際で日向ぼっこしてるの
おざぶの上でアンモニャイトになって日向ぼっこ。
「あの夢の続きを」
きょうだい達の一匹に邪魔されて途中で目が覚めちゃった
少しカリカリ食べてまたあの夢の続きを見るの
「未来への鍵」
未来への鍵は自分で作って 自分で開けるモノ?
未来への鍵は誰かに作って貰い 誰かに開けて貰うモノ?
未来への鍵は何処かにあって 自分で探し出して開けるモノ?
未来への鍵は何処かにあって 誰かに探して貰い開けて貰うモノ?
未来への鍵は…きっと彼方の果てにあるだろうし
未来への鍵は…きっと身近にあるだろうし
未来への鍵は気付かない内に存在して
未来への鍵は気付かない内に紛失して
いつ鍵が自分の手元に来るのかは
自分がいつ鍵の存在を知るのかは
ちょっと先の先の先かもしれない
「星のかけら」
ポリポリ
昼下がりのオフィス内に何かを噛み砕く音が聞こえた
噛む音の原因は馳部さんだ。
「…うん…まぁまぁかな」
馳部さんの机には小さな小瓶が複数一列に並んでいた。
小瓶の中にはピンク色、水色、黄色、赤色、白色
その正体は
「アンタも食べる?金平糖」
小さな星の欠片を模している砂糖菓子の金平糖だ。
「どうしたんですか?この金平糖」
机の上に並べられた複数の金平糖たち。
瓶の底を1つ1つ見るとメーカーがバラバラだった。
「食べ比べと小さなトゲ探し。完璧なトゲをしている金平糖が見たくてさ、店で販売されている金平糖とネット通販の金平糖を幾つか買ってるんだけど」
「それで?味の方とトゲの方は?」
「味はまぁまぁかな?けどトゲは難しい。ほとんどが未熟。
味はまぁまぁ。トゲはまぁまぁじゃない」
馳部さんはポリポリと小さな噛む砕く音を出しながら、
また一粒取り出し小さなトゲを見つめ小さく溜め息を付いた。
「星の数程…果てしない?」
僕は水色の金平糖三粒を噛み砕いたのだった。